ネットを使った不登校児支援、自治体と連携相次ぐ 登校せずとも出席扱いに
IT企業などが自治体と連携し、インターネットを使って、不登校の子どもの学習支援や、生活状況の把握を行う取り組みが、全国で試験的に始まっている。不登校の子どもが自宅で学習をしていても、出席日数にはカウントされないため、受験の際に内申点に影響することがあるが、自治体公認であるサービスを利用すれば、出席日数にもカウントできるという。事業者は「家で学んでいることが学校にきちんと評価される意義は大きい」と意気込むが、一部には「自宅での休養が必要な子どもにとっては負担」という指摘もある。
導入した学校では「子どもたちの様子の把握に役立っている」という声
「これまでは、不登校の子どもの様子を知るには家庭訪問ぐらいしかなかったが、システムを導入し、子どもが昨日何時に寝たのか、どこまで勉強を理解しているのか、学校にいながらわかるようになった。効果を実感している」 仙台市立高砂中学校の伊藤陽子教諭は、取材に対し、新たなシステムを取り入れたことで、不登校の子どもへの指導がしやすくなったと話した。 この中学校で6月から取り入れられているのが、教育事業を手がけるIT企業「エデュアス」(東京)が4月から全国の自治体向けに始めた不登校の子どものサポートシステム「パルステップ」。 パルステップは学校や、不登校の子どもたちが通う適応指導教室、教育委員会が、家庭で過ごす子どもの様子を知ることができるウェブサービス。パソコンやタブレット、スマートフォンからウェブサイトへログインできる。
子どもはウェブサイト上で、学研の教材を使って国語と算数・数学を勉強することができる。漫画の解説を読んだり、選択式の問題を解いたり、動画教材を見たりして学ぶ。進捗状況や理解度は、学校側のシステムで把握できる。教材は学習指導要領をカバーしているため、やり終えれば家庭学習でも出席日数としてカウントしてもらえる。 また、子どもはサイト内でボットと呼ばれるキャラクターと選択式の会話を交わす仕組みになっており、何時に寝たのかや今日の気分などを答えていくため、子どもの回答を見ていけば、直接会わなくても学校側で様子が把握できるという。 伊藤教諭は「パルステップでのボットとのやり取りを見て、学校に来たときに『疲れてるの?』と会話の糸口にすることもある。また小学校で教える範囲につまづきがあるとき、中学校ではうまく教えられないこともあるが、ウェブでは簡単に小学校までさかのぼって学び直すこともできる。子どもたちには好評だ」と話す。