「過激ダンスショー」で信頼失墜、自民党青年局の正念場 新局長・鈴木貴子氏が問う「青年局議員の自覚」とは?
そのとき、家庭に帰ってもあちこちに電話せざるを得ず、当時4歳の娘に「お母さんのお腹に帰りたい」と言われてしまった。ショックだった。そこで母親として何があっても絶対に娘を守っていくと、改めて自覚した。自覚とはそういうことだ。 自分が何者でどう行動するべきなのか、自覚があれば行動は変わる。自民党の青年局の一員としてどう行動するべきなのかは、青年局の一員としての自覚にかかっている。その自覚があれば、ダンスショーの問題も起こらなかったと思う。
――最近の青年局は元気がないとも聞きます。 38歳の自分が言うのもなんだが、いまの若い議員は洗練されている。自民党は世襲議員ばかりと思われがちだが、民間出身や各界の専門家、知事経験者など、経歴は意外と多様だ。ただ、政局や政治的バランスに敏(さと)く、妙に賢い人が多くなっている。 わたしは青年局の最大の強みである「青二才」を前面に出していきたい。執行部に言いたいことは山ほどあるし、不条理を感じることもたくさんある。行動するエネルギーもある。でもお金がない、経験がない、人脈もまだまだ。だからこそ理想を語れる強みがある。
■問題の根を本当に断とうとしているのか ――裏金問題の再発防止策の一環で自民党は「派閥解消」を決めました。しかし、鈴木さんはかねて派閥解消には否定的ですね。 派閥解消は裏金問題の根源的解決にならない。あくまで政治資金の透明性をどう担保するかが本質であって、派閥解消は論点のはぐらかしだ。国民に対してずるくないかと申し上げている。 結局、今になっても事実関係すら出てこない。これでは一層の政治不信につながる。問題の根を本当に断とうとしているのか、気構えが見えないことが非常に歯がゆい。
――派閥は必要ですか。 もちろん金権体質の旧態依然とした派閥に固執するつもりはない。「政策集団」への脱皮を否定するものでもない。だけど、一回派閥に足を突っ込んだら「解消」などと安易には言えない。政治は権力闘争であり、権力闘争をともに勝ち抜いてくために仲間は集結する。 だから派閥が選挙で一定の役割を果たしたり、その結果、人事に影響力を持ったりすることは不可避だ。それが日本の民主主義でもある。
森 創一郎 :東洋経済 記者