役職定年後の生き方と生成AI
今年も多くの企業が構造改革と呼ぶリストラクチャリングが実施され、メディアに取り上げられるケースが多くなりました。加えて、役職定年という制度が日本企業の中で一般的になってきたこともあり、定年を迎える前にご自身の今後を考える必要がでてきています。企業によって、制度ややり方は異なるのですが、一般的には役職定年になると、課長・部長といった役職からはいったん外れることになり、これまで部下だった若手が上司になるケースが出てきます。また役職手当の様なインセンティブもなくなるため、挑戦意欲が減退してしまうこともあると聞きます。 こういった制度は、ある時期に採用した人員が過剰であることなどから発生しているケースが少なくないようですが、これまで年功序列といった制度の中で過ごしてきた多くの日本人ビジネスパーソンにとっては年下上司ということが受け入れにくいかもしれません。 ■人生、起承転転転の考え方 『モダンエルダー』の著者、チップ・コンリーは初期のAirBnBの若いCEOのメンターとなりました。ホテル業界のベテランであるもののインターネット事業には慣れていなかったことからインターンでもあるとし、「メンター」と「インターン」を合成した「メンターン」と名乗り、AirBnBの急成長に「職場の賢者」として貢献したことが同書で紹介されています。 筆者もある巨大企業内で社員向けに対談をさせていただいた時に、作家の童門冬二さんの『50歳からの勉強法』という書籍にあった「人生には起承転結の様な結びはなくてよく、起承転々で良いのだ」といったメッセージを共有しました。すると、少なくないシニア層の社員の方から強い反響がありました。50歳代ともなると、ご自身の企業内での到達点がある程度見えはじめていて、親の介護、子供の進学・結婚といったライフステージの大きな変化を経験する年代でもあります。また自身の健康状態に注意を払う必要も出てきます。 生涯なんらかの形で社会と関わっていく上で、仕事を続けるという選択肢は永らくビジネスパーソンをやってきた方々にとって親和性の高いものだろうと思います。 自身にとって最もアンコントローラブルな(制御できない)事象は自身の寿命です。これは筆者も同じで、何歳まで寿命があるのか予測もつきません。 とすると、起承転結の「結」がいつになるかは予想できない訳で、ならば「転」を生ある限り続ければ良いというのです。筆者も童門さんの考え方には強く共鳴しています。