「ほどよい相槌」「声のトーンを合わせる」…しゃべりのプロ2人が語り合う、話し&聞き上手になるための心得。
ずっと話さないと頬の筋肉が衰えてしまう。
阿部 あずみさんは話すときに声の出し方などで気をつけてらっしゃることはありますか? あずみ 声のボリュームを相手に合わせるようにしています。大きな声の人には大きい声で、小さな声の人には小さな声で、とか。ただ、個人的にはあまり大きな声は得意ではないかも。 阿部 私は仕事柄、ハキハキと大きな声になっちゃう(笑)。それこそ昔、毎日ニュースを読んでいたころはいつ原稿が飛び込んできても読めるくらいに頬がほぐれていましたが、でも夏休みなんかで1週間でも間があくと途端に頬の筋肉が衰えてしまい、慌てて屋上に上がって、あ・え・い・う・え・お・あ・お、と発声練習した覚えがあります。
あずみ 1週間で衰えてしまうんですね。 阿部 はい。なので、日ごろ自分が滑舌が悪いと思っている人は、ぜひ、頬の筋トレを日課にしてみるといいです。
あずみ 私も声のトーンというのが気になっていて、高座に上がるときはボイスレコーダーで録音して必ず後で聞き返すようにしています。客観的に自分の声を聞くといろいろな発見がある。あれ、案外ここの言い方はキツめだったなとか、ここはもっと低い声のほうが話のオチに合うな、とか。そうやって、思い込んでいるイメージと実際のギャップを埋めるようにしています。 阿部 それは素晴らしい。声には通り道があって、俯いて話せば暗くなるし、前を向くだけでお客さんに届きやすくなるので、そうしたことの気づきにもつながりますよね。話のネタ探しなんかはどうしているんでしょうか? あずみ 日常でちょっとおかしかったこととか、かっこよかった言い回しとか、悲しい話なんかも、ひたすらスマホに箇条書きでメモをしています。
阿部 それを時々見返したり? あずみ はいそうです。ひどいこともいっぱい書いてあるので、人には絶対に見せられませんけど(笑)。 阿部 と言われると余計に見たくなりますね(笑)。 あずみ 阿部さんにぜひ伺いたかったんですが、いざ本番というときに何か実践している秘密の技ってありますか? 阿部 私はカンペ作りに命をかけているので(笑)、先日も大きなコンテストでその作成が大変でした。アナウンサー病というのか、話し中に5秒でも間が空くのが耐えられないほうなので。あずみさんは? あずみ 私は本番前の肩甲骨運動と、そしてニヤニヤすることです。 阿部 ニヤニヤ?