『海に眠るダイヤモンド』最終回には“実現不可能”な絶景が? 新井P「未来に繋がるものを」
12月22日に最終回を迎える日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)。神木隆之介演じる荒木鉄平に、何が起こったのかという最大の謎が明らかになる。早く真相を知りたいとウズウズする一方で、見終えたくないという複雑な気持ちを抱えている方も多いのではないだろうか。1950年代の高度経済成長期から現代にかけて紡がれた壮大なストーリー。その見納めにふさわしく、最終回は2時間スペシャル拡大版に。そんな期待高まる最終回に向けて、新井順子プロデューサーが見どころについて語ってくれた。(佐藤結衣/最終回前インタビュー後編) 【写真】『海に眠るダイヤモンド』最終回先行カット(全32枚)
実際にはない景色を創り出すためにみんなで奮闘した日々
――このドラマが生まれたきっかけは新井さんが脚本家の野木亜紀子さんと行かれた長崎旅行がきっかけだったとお聞きしました。長崎への思いは結実しましたか? 新井順子プロデューサー(以下、新井):そうですね。当時はドラマ化しようと思っていたわけでなく、ただただ旅行を楽しんだだけでしたが(笑)。このドラマを作るにあたって、本当にたくさんの島民の方にお話をお聞きして、撮影にもご協力いただきました。実際に起こったことに、フィクションを混ぜながら、過去と現代をリンクさせていくっていうのはなかなか高度なことで……。観ている人は「どこに連れて行かれるのかな、このドラマ?」っていう感じだったと思うんですけど、ようやく繋がってきたのではないでしょうか。当初は第9、第10話と1本ずつに予定していたクライマックスが、2時間最終回スペシャルにギュッとまとまることになりました。複雑だったからこそ見応えがあった、そんなエンディングになっていると思います。 ――第7話は端島を描く上で外すことのできない炭鉱火災がテーマに。鉄平の兄・進平(斎藤工)が帰らぬ人になる物語はとても苦しいものがありました。 新井:現実には端島で1名が火災事故で亡くなられているので、架空の人物として進平を加えた2名が犠牲になったという設定にしました。実は進平が亡くなるというのは、最初のころに全体構成を決めている段階で、すでに決まっていたんです。なので、斎藤さんにオファーするときも「途中で亡くなるんですけど……」と説明をしていて。でも、さすがに反響は大きかったですね。 ――第7話は鉱内の火災をなんとか食い止めようという3日間の奮闘が描かれ、新井さんも「最も撮影に苦労した話でもあると言っても過言ではありません」とコメントされていましたね。 新井:本当に、超大変でした(笑)。あの坑内のシーンは埼玉県の飯能と兵庫県の姫路にあるロケ地で撮っているんですけど、4日間ぐらいずっと坑内に入っての撮影になりました。端島の坑内はものすごく暑かったというお話でしたが、撮影している場所は息が白くなってしまうくらいめちゃくちゃ寒いんです。そんな朝も夜もわからなくなるような場所で撮影していると、ちょっと感覚が鈍ってくるんですよ。炭鉱員の方の苦労が身に沁みたという4日間でしたね。他にも、爆破や放水なども実際に火を使ったりも水を撒いたりしていて。思い返すと、よくやらせてくれたなというのが率直な感想です。もうお芝居というより、本当に作業という感じで。「はい、これ粘土運んでください!」「そっちは粘土で埋めてください」「ここで放水してください!」って。キャストのみなさんは言われるがままに動いていたので、きっと出来上がった映像を観て、「こうやって繋がってたのか」と思われたんじゃないでしょうか。また今回のドラマでは緑のない島を再現するのにロケ先に苦労したかと思えば、今の時期には咲いていない花を咲かせなければならなかったりと、本当に無理難題に挑む日々でした。もちろん現実では難しい場合にCGで対応することもありますが、そうすると何もない風景で俳優さんたちに演技をしてもらうことになるんです。やっぱりそれでは味気ないところもあって……。なので、できる限りリアルな風景を実現したいとオープンセットをはじめ美術さんたちが涙ぐましい努力で景色を作ってくださっていました。最終話も、あるシーンで実現不可能だと思っていた絶景を作り上げています。ぜひ「このシーンのことだったのかな?」と楽しんでいただけたら嬉しいです。 ――大変な現場にも関わらず、ずっと和やかなムードが漂っていたように思いました。そのムードメーカーとなっていたのは? 新井:やっぱりそこは神木さんがいつも話の中心にいらっしゃいましたね。撮影ベースの後ろにテーブルがあって、みんなでそこで座って喋っていて、全体的に学校のような感じでした。あとは、百合子(土屋太鳳)と朝子(杉咲花)が昔からの仲良しなので、2人でいつも楽しげにしていたのも微笑ましかったです。