ほぼ“絶滅寸前”…薪で風呂を焚く老舗銭湯 たった1人で戦う3代目の矜持「良い文化を残すのがウチの役目」
神谷さん: 「暑いですね、まだ窯の温度が70度以上あるので。前の日の残りの熱、余熱でまだこれぐらいはありますね」 前日の余熱が残っているため、釜場は30度以上。火がつけば、室温は40度近くにまで上昇します。
火が入ったら、薪を徐々に足しながら4時間かけお風呂の水を温めていきます。火力の調整も長年の勘で、創業以来変わりません。
神谷さん: 「(薪を使うと)湯冷めがしにくいとか、お湯がまろやかになるって言いますね。愛知県内で薪だけでお風呂を炊いてるというのは、5軒だけですね。手間と、代が替わったとしても若い人があまりやりたがらない。どうしても、これだけ大変なんで」 大変と言われる薪の風呂ですが、比良温泉では、たった一人で焚き上げています。
■若者向けにサウナは全面ヒノキに改装…老若男女に愛される人気
作業開始から7時間、ようやく薪のお風呂が焚き上がりました。
午後3時半、比良温泉のオープンです。ここからは昔ながらの番台に座って接客します。このスタイルも随分と少なくなりました。(入浴料 大人500円)
待っていたかのように、早速お客さんが訪れます。地元の常連が多いという開店直後、50年以上も通っている女性です。 女性客: 「ここは薪でしょ。こんないい風呂ないよ。大好きだもん、ここのお風呂。だから、ここがなくなったら大変なの、私。絶対に守って欲しいから、毎日来ています」
常連客はほかにもいました。 男性客: 「風呂に来て40年だ。(3代目の)おかあさんが嫁に来てからずっと」
皆さん、やはり「薪の風呂」を楽しみに来ているようです。 男性客: 「やっぱりいいな。みなさん言うよ、ここは湯もいいなって。だから無くなったら大変なことになる」
1日でも長く続けてほしい、常連客たちの願いです。
神谷さん: 「お風呂入って怒って帰る人っていないじゃないですか。100%笑顔になってみなさん帰られるので、それがすごくいいですね!」
午後8時。日が暮れてからは、親子連れや若い人の姿が増えてきます。 若いお客さんが来るきっかけになればと、2022年、サウナを全面ヒノキに改装しました。 男性客: 「これがいいですよね!(薪のお風呂で)温まって、サウナ入って、水風呂ですね」