障害がある子にお金を残せる「しょうがい共済」とはどんな制度か。「親なき後」が心配なら要チェック!
障害がある我が子の「親なき後」は、家族なら誰でも気にかかるところだろう。少しでも多くのお金を残してやりたい……そう真剣に考えている親でも意外と見落としてしまうのが、「障害者扶養共済制度(しょうがい共済)」だ。半世紀を超えて続いているにもかかわらず、なぜか知名度の低いこの制度の概要を、新刊『発達障害・精神疾患がある子とその家族が もらえるお金・減らせる支出』より抜粋して紹介する。 【画像】「しすぎたらバカになるぞ…」母の再婚相手から性的虐待「すべてが壊れた日」 前編〈「あの子を殺して、自分も一緒に…」精神疾患がある子の親が抱える「深すぎる苦悩」そしてそれを癒す方法とは〉より続く。
障害者扶養共済制度(しょうがい共済)とは何か
障害者扶養共済制度(略して「しょうがい共済」)の歴史は古く、その礎(いしずえ)となる取り組みは1966年に足利市(栃木県)や神戸市(兵庫県)などで始まったと言われています。 これらの取り組みがほかの自治体へと広がっていき、国の指導・監督のもと平準化された全国規模の制度として1970年にできたのが、現在の「しょうがい共済」です。 その仕組みはというと、自治体(都道府県など)が実施主体として掛金を集め、それを独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運用することで成り立っています。が、ごく単純化すると次のように表現できます。 2021年度末までに約21万5000人が加入し、約8万2000人に年金が支払われました。この間、掛金や年金などの金額は何度か改定されており、最後の改定は2008年です。 加入者数が減少していて、今後ふたたび改定が行われる可能性もありますが、貴重な社会資源であることに変わりはありません。ぜひ概要くらいは知っておくことをおすすめします。
しょうがい共済に加入するための要件は?
「保護者(加入者)の要件」と「本人(障害のある人)の要件」の2つがあり、両方を満たすと加入できます。 【保護者(加入者)の要件】 加入できるのは「満65歳までの保護者」ですが、この場合の年齢は「加入時の年度(4月1日~翌年3月31日)の4月1日時点の年齢」をいいます。誕生日時点の年齢ではない点に注意が必要です。 加入にあたり所得の有無は問われませんが、障害のある本人1人につき、加入できる保護者は1人と決まっています(つまり、両親2人が1人の子のためにそろって加入することはできません)。親1人が複数の子のために加入することは可能です。 【本人(障害がある人)の要件】 本人の年齢は問われませんが、以下に示す障害があり、かつ将来「独立自活することが難しいと認められる人」が対象となります(なお、加入後に本人の障害が軽快しても、保護者は加入し続けることができます)。