大阪・建て替え検討の「セルシー」店舗関係者の思いとは
1972年オープン、かつては100店舗入っていた
大阪・建て替え検討の「セルシー」店舗関係者の思いとは 撮影:北代靖典 編集ナレーター:柳曽文隆
大阪府豊中市に1972年(昭和47)にオープンした大型複合商業施設「セルシー」が、建物の耐震性に問題があるため、建て替えが検討されているという報道が相次いだ。8月のテナントへの説明会で、所有者側(東京都内の会社)が明らかにしたもので、かつては約100店もの衣料品店や雑貨店、飲食店がテナントとして入っていたが、それも現在はわずか25店舗に。また同施設内にある野外ステージは若手歌手の登竜門として知られ、小倉優子や中川翔子、AKB48、きゃりーぱみゅぱみゅなども歌ったことがあるなど、様々な歴史を持っているが、ある店舗関係者は「オーナーが賃貸契約の更新をしないため、4分の3が立ち退きました。ただ、建て替えについて具体的な話は出てないんです」と話す。長年にわたり地域で親しまれてきた施設だが、今後はどうなるのか。各店舗関係者や管理会社に話を聞いてみた。 【拡大写真】大阪・平野 ダイエー消え「イオン」開店で利用者の声は
野外ステージでは数多くのアーティストが舞台を踏んだ
セルシーは地上6階地下1階で、延べ床面積は約6万5千平方メートル。ローマの「コロッセオ」を模した立体的なデザインで、オープン当時は斬新だった。映画館やプールなどもあって、近畿一円からの買い物客らで随分とにぎわった。 野外ステージのセルシー広場では、デビュー前の小倉優子や光GENJI、河合奈保子、石川秀美、西村知美、酒井法子、松浦亜弥、矢井田瞳、中川翔子など、最近ではAKB48、きゃりーぱみゅぱみゅもステージに立ち、多くのファンが詰めかけた。
テナント関係者「いつ閉まんの?」と聞かれることも
建て替えが検討されるに至った理由は、建物の老朽化だ。豊中市が今年3月、大規模なものなど建築物について耐震診断を義務づけた改正耐震改修促進法に基づき、検査を行った結果「(セルシーは)震度6強から7の地震で倒壊、または崩壊する危険性が高い」とし、結果を公表した。所有者側がこうした結果をテナントに説明し、賃借契約を更新しなかったため、続々と立ち退いていくことに。 セルシーの登記上の所有者は三井住友信託銀行だが、東京都内の会社が賃貸収入を得る受益者となり、テナントと賃借契約を結んでいるという。そこで、各テナントに話を聞いてみた。 「建て替えがいつかは聞かされていないので、今後のことはわかりませんが、建て替えが決まると、閉鎖されるでしょう」(学習塾) 「セルシーさんがどうするのか、まだはっきりしていません。だからお客さんには『ずっと営業を続けていきます』と言っています。最近は『いつ閉まんのん?』なんて聞かれることもありますけど」(ダイエー千里中央店) 「各店舗との個々の話は進んでいない。これからでしょう。耐震性の問題もあるし、再開発の話は聞いてますけど、先方が言っているだけで具体的な話は聞いてませんね。すでに3分の2ほどが出て行ってますし、周りに店がないと商売はやりにくい。ダイエーさんやパチンコ店など大きいところが出て行くと、小さな店舗は商売がやりにくいからすぐに出て行くことになるでしょうね。これまでの45年間を振り返ると、あっという間でしたよ」(45年間営業を続けている店舗のオーナー)