熊谷真実さんが語る「甘え上手ってどんな人?」|作家LiL対談連載「生きるセンス」
純粋な愛があってこそ素直に甘え上手になれる――熊谷真実さん
M:私自身、上の世代の女性たちに素敵な生き様とその背中を見せてもらってきました。その経験が勇気を与えてくれているのかも。 L:その話、ぜひ聞かせてください。 M:たとえば石井ふく子先生。彼女は、97歳のとき、私にステーキを奢ってくださったんです。その年齢で奢りたい気持ちがあるって素敵じゃないですか? L:それもステーキというのが、またかっこいい! M:ほかにも浅岡ルリ子さん、高橋恵子さんなどなど。 L:わぁ、華やかですね! M:いつも「年齢を重ねるって素敵なことよ」と語っていらして、その言葉どおり、みなさん現役オーラを放っているんですよね。 L:どんなときにそのオーラを感じるんですか? M:恋愛関係ということとは別に、お会いするとボーイフレンドが隣にいて、優雅にエスコートされているのが印象的でした。彼女がリスペクトされているのがわかるのはもちろんのこと、彼女もお相手をリスペクトしている。ずっと女性でいることを忘れないってよく言うじゃない? それって、男性にエスコートされる存在でいることなんだなって。 L:わ、名言です。 M:先輩のそういう姿を見てきたから、私もいつまでも男性にエスコートされる存在でありたいし、そのために努力したいなと思いますよね。 L:今、上手な甘え方がわからない女の子って多いかもしれないですね。周りには甘え上手な女子が多いのですが、それって要は素直ってことで、素直であればあるほど生きるセンスがあるって最近はつくづく思います。 M:素直な気持ちで甘えることは、愛がないと難しいですからね。 L:そうですね。甘え上手はそこに愛と自立があってこそ、かもしれません。甘え下手=サバサバ女子みたいなイメージもありますが、甘えたくない=プライドが高いのかな? とも思います。自立していて甘え上手なら、もう人生無敵です。 M:私は今の夫と結婚する前に聞いたんです。「私は人に何かをしてあげたいタイプです。あなたは?」って。そうしたら、「僕もしたいタイプです」という返事。だからそこで決めたんです。「じゃあこれからはあなたにお願いするわ」って。 L:素敵! おそらく人間のどこかに、愛する人をエスコートしたい願望ってあると思うんですよ。男でも女でも関係なくみんなあると思うし、それは性別より性格というか。でも、同時に相手に見返りを求めないで尽くすのは、男女ともに難しいこと。よく思うのは、勝手に尽くして不機嫌になるよりも、何も尽くさずにいつもご機嫌でいるほうが、人間関係上手くいくなぁってことです。友情でも同じだけど、男女関係なら特に、女性は男性にお願いされてもいないところまで尽くしすぎて、無理がきて爆発するってよくあることだから(笑)。だから、恋人にどう尽くすか、よりもエスコートされるためにどうしたらいいのかを考えたほうがお互いに嬉しいかもしれないですね。 M:そのほうが男性も成長しますよね。 L:はい。私は恋愛において昔からそこだけが得意です。尽くしすぎずにご機嫌で甘え上手。結局、素直がいちばんコスパもタイパもいいですよ。素直になれないのが可愛いのは、それこそ若さの特権。自然体で、いっぱい笑って人に優しくしてるのがいちばん! M:お互いその頂点目指して行きましょう!(笑) 熊谷真実 俳優・タレント。映画、ドラマほか幅広い分野で活躍。2020年夏から静岡県浜松市に移住。’20年11月から「浜松市やらまいか大使」、’21年6月から「静岡県観光プロモーション 観光PRメッセンジャー」に就任。 LiLy 作家。1981年生まれ。神奈川県出身。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。著書多数。今年ベッド内美容ブランド「Bedin」をローンチ。