「電気の恩恵だけ受けている人、地元のつらさ感じて」女川原発が再稼働、半世紀にわたり反対続ける父娘の思い【報道特集】
女川町民の中で、原発に肯定的な人も少なくない。ただ、賛否をはっきりと口にするのは、はばかられる空気が今もある。 女川町民 「メリットデメリットどっちもあるから複雑。女川町自体が小さい町だから、それ(原発の存在)は大きいと思う」 「昔から原発のおかげでというのが女川町は多いので、反対という気持ちにはなったことはない」 震災後、東北電力は再稼働に向け、耐震化や海抜29メートルの防潮堤整備など、5700億円を投じ安全対策を行ってきた。 東北電力 樋口康二郎社長 「中東の情勢も非常に不安定な状況の中で、燃料の確保という意味で、様々な電源を組み合わせて運用することが、安定供給の面からも非常に重要」 ただ、国や社会のために事故などのリスクを負うのは、原発がある地域とそこに住む人たちでもある。 今年の元日に起きた能登半島地震。道路が寸断され、女川のような半島部の住民の“避難の課題”が浮き彫りとなった。 阿部美紀子さん 「“逃げなくちゃいけない町”というのが、そもそも私は考えられないんですよ。原発があるから避難を考えなくてはいけない。なかったら避難を考えなくていい」 美紀子さんは原発回帰の現状に怒りを覚え、活動を続けている。今年7月には、女川町で再稼働の反対を訴えるパレードを行った。 阿部美紀子さん 「きょう7月7日は私の父の13回忌なんです」 ■「電気の恩恵だけ受けている人、地元のつらさ感じて」 13回忌となる今年の盆。家族とともに父・宗悦さんの墓参りに訪れた。10月の再稼働まで、あと2か月に迫っていた。 Q.まもなく再稼働ですが、父・宗悦さんはどう見ている? 阿部美紀子さん 「腹立って腹立って仕方ないでしょうね」 東北電力 樋口康二郎社長 「女川2号機の再稼働は、当社にとって大きな節目となります」 女川原発2号機は10月29日、約13年半ぶりに原子炉を起動した。ただ、起動から5日後、発電の再開に向けた作業の中で機器に不具合が発生。一時、原子炉の起動を停止させた。