ギャラリーへ改装、急ぐ 昴学園高、来年1月の卒業制作展向け 三重・大台
目標の210万円超え246万 クラファン達成
三重県多気郡大台町茂原の県立昴学園高校(若宮一哉校長)の美術工芸系列3年の6人と、同校で昴学園魅力化コーディネーターを務める山田能健さん(53)=大井=が、佐原の空き店舗を改装してギャラリーを造り、そこで来年1月11日から卒業制作展を開催するために募っていたクラウドファンディングは、目標額の210万円を上回る246万円を達成した。その支援の後押しを受けて、生徒たちは現在、急ピッチで塗装作業などを行い、年明けの完成を目指している。
美術工芸系列6人ら 三瀬谷駅前の空き店舗活用
この取り組みは、空き店舗をリノベーションして地域とのつながりを生み出すプロジェクト「Meets SUBARU」の一環。生徒6人は、和名・すばるで知られる主に六つの星からなるプレアデス星団に、ギャラリーがずっと残ってほしいという思いを込めた「Prayer(祈り)」を組み合わせた造語「PRAYERDES(プレアデス)」というチーム名を発案し、楽しさや喜びを表現した。ギャラリーとしての活用はもちろん、地域の人たちとの交流の場の役割も狙う。 同校ではこれまで卒業制作展を、佐原の道の駅奥伊勢おおだいで開いていたが、もともと展示向けの施設ではなく、また町内では他に展示する施設もないため、生徒たちの表現の場や地域の人との交流が課題となっていた。そこで地元不動産会社の協力を得て、賃貸で自由にリノベーションしていいという空き店舗をリノベーションすることになった。 バリアフリー化の工事や電気工事などの費用を賄うため、10月から約1カ月間クラファンを実施。生徒たちがデザインしたチーム名のロゴのトートバッグや缶バッジ、手紙などをリターン品とし、190人から計246万円の支援が集まった。 工事は11月26日から開始。町内で空き家などの利活用を手掛ける建築家などによる有志団体「AWAプロジェクト」も協力し、旧川添郵便局の窓やドアも再利用。生徒たちは12月9日から作業に加わり、1、2年生たちもボランティアで参加し、放課後の空き時間に内装や外装の塗り替え作業などを行ってきた。 18日午後2時すぎからは、3年の稲森心愛さんと中島彩晴さん、1年の千葉貴知司君、稲森心優君と、山田さん、同校の美術教諭・伊藤真央さん(23)が参加。屋内の塗装や店舗入り口にロゴを入れる作業に取り掛かった。ロゴの文字を入れるために貼り付けた台紙が風にあおられて剝がれるハプニングなどはあったものの、少しずつ完成に近づけていった。 中島さんは「目標額の達成はびっくりで、やっとかなったと思った。今までは計画だけだったけれど、こうやって形になってくるとうれしい。皆が集まれる楽しい場所になってくれたら」、稲森さんは「諦めかけていたので、本当にびっくりした。老若男女問わず、興味を持って来てくれたら」とそれぞれ期待に胸を膨らませた。 今後、支援してくれた人たちの名前を、感謝の気持ちを込めて店舗入り口の壁に手書きで入れる予定。 新設されるギャラリーはJR東海の三瀬谷駅から徒歩1分、料理旅館「萬栄」の1軒隣にある。 卒業制作展「美術工芸系列展」は来年1月11~19日午前9時~午後4時(最終日は午後3時まで)で、約60点を展示予定。初日の午前9時からは、記念イベントも開催する。