柔道五輪3連覇の野村忠宏が現役引退
得意技は、背負い投げで、予期せぬ多彩な技を繰り出すことから「天才肌の小さな巨人」などと呼ばれた。父の基次さんは、元天理高校柔道部監督で、叔父はミュンヘンオリンピック金メダリストの野村豊和さんという柔道サラブレッド。 それでも決して小さい頃から柔道エリートだったわけでなく、天理中学入学時には、体重が32キロしかなく、市民大会では女子中学生に負けたこともある。そこからの「ナニクソ」という反骨心が柔道家・野村の原点だった。 五輪の3連覇だけでなく、40歳まで現役を続行するという過去の日本柔道界に例を見ない大きなチャレンジを続けてきた柔道界のレジェンド。永遠に語り継がれるような柔道人生を送ってきた野村は、その現役生活最後となる29日の“引退試合”で、どんな柔道を見せてくれるのだろうか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社) 野村忠宏(のむら・ただひろ) 1974年12月10日、奈良県出身の40歳。3歳から柔道をはじめ、天理中、天理高、天理大と進み、アトランタ五輪、シドニー五輪、アテネ五輪で3連覇を達成。世界選手権でも1997年のパリで金、2003年の大阪で銅。北京五輪、ロンドン五輪出場はならなかったが、現役を続け、この4月には現役選手としては異例の7段に承認された。弘前大の大学院で博士号も取得している。ミキハウス所属。1メートル64で階級は60キロ級。葉子夫人との間に、長男の基晴君、二男の健翔君。