16卒就職戦線、インターン組の増加で就活生は二極化?
3.入社試験は人物評価+企業との相性
今回言われている「二極化」は、能力の差によるものではなく、単に時期の問題と捉えることができます。「インターン組」に早く内定が出るのは今年に限ったことではなく、いわゆる採用直結型のインターンシップを実施する企業は、毎年一定数あるのです。もし第一志望の企業が早期にインターン生から採用する採用直結型の企業なら、インターンシップに参加しなかったことは確かに痛いですが、今就職活動をしている学生の志望企業はこれから選考を行うところが大半ではないでしょうか。企業側への調査では、「決められたスケジュールよりも前倒しで活動し、早めに終了する」と回答した企業は3割もありませんでした。
大学の授業や研究室、クラブ活動、アルバイトといった普段の学生生活を優先し、普通に3月から就職活動を始めたことを「出遅れてしまった」と感じる人もいるかもしれませんが、集団面接で隣に座った学生が「インターン組」だったとしても、引け目に感じることはありません。インターンシップに行かなかった時間で得られた、別の経験を堂々と面接官に話してほしいと思います。 企業は、インターンシップ経験の有無だけで志望者を評価するわけではありません。能力、適性、人柄、熱意などすべて含めた評価に加え、社内には居ないタイプの人材を欲していたり、企業との相性を見ていたり、様々なのです。 マーケット自体は売り手市場ですが、焦ってやみくもに選考を受けたり、友達に合わせてなんとなくセミナーに参加したりするのでは成果は望めません。自分がどんな仕事に興味があり、どんな企業ならやりたい仕事に就けそうか、といった基本的なことをしっかり押さえ、それを踏まえた上で活動を進めてください。そうした「軸」を持っているのと持っていないのとでは、最後の結果に大きな差がついてくるはずです。 最後に、来年以降に就職活動を行う人にぜひ心掛けてほしいことがあります。今就職活動をしている先輩たちの体験談を今から聞いておきましょう。そして、関心を持つことで自分の将来や適職を少しずつでも考えられると思います。自分で考えた上で、必要だと思ったら、この夏にはインターンシップに挑戦してみるといいでしょう。 ---------------- 武井房子(たけいふさこ) 株式会社ディスコ キャリアリサーチ 上席研究員。1970年生まれ。1993年株式会社ディスコ入社。採用広報営業部にて、主に化学、機械、エネルギー業界等を担当。1997年調査部門に異動し、企業調査ならびに学生モニター調査の設計、実施、分析等を手掛ける。1999年~2007年には、顧客向け情報誌『人と採用』編集長を兼務。1年間の育児休暇取得後、2009年に復職。現在、大学生や企業の採用担当者、留学生などを対象とした調査を年間約20本実施。年々広がる就活生とのジェネレーションギャップをものともせず、数多くのインタビュー調査を自ら企画・敢行し、就活生の本音をウオッチし続けている。