「迷惑車両をさらして撲滅する」SNSで人気を博す“正義マン”の法的リスク
また、刑事上の責任としては、名誉毀損罪(刑法230条)が成立する可能性があります。また、投稿した車両が事業者の社用車である場合は、業務を妨害したとして偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立する可能性も考えられます。
なお、ナンバープレートの番号だけであれば個人が特定できないことから「個人情報」には該当しないと考えられていますが、周辺の状況や車種等から運転者や所有者が特定される可能性もあり得るので、注意が必要です。
──SNS等でナンバーをさらされた事を理由に、車の買い替えやナンバーの変更をおこなった場合、投稿者に損害賠償をする事は可能でしょうか インターネットでナンバープレートをさらされる投稿が拡散され、運転者や所有者が特定されてプライバシー権が侵害された場合や、日常生活に支障を来す事態になり車の買い替えやナンバーの変更を行わざるを得なくなった場合には、投稿者に対する損害賠償請求が認められる場合もあり得るでしょう。 過去には、高速道路で起きたあおり運転の事件で、事件とは関係がない女性の名前や顔写真が車に同乗していた「ガラケー女」だという虚偽の情報とともにSNSで拡散された件につき、SNSに投稿していた元市議会議員に対して名誉毀損を理由とする損害賠償が認められています。 この件は事件と関係のない女性でしたが、仮に事件の当事者であったとしても、名誉毀損が成立する可能性があるので、やはり安易な投稿は控えるべきでしょう。
【取材協力弁護士】 杉本 拓也(すぎもと・たくや)弁護士 弁護士・中小企業診断士。事業者向けに風評被害やレピュテーション対策を含む顧問弁護士としての活動を行う。政府系金融機関及び外資系生命保険会社で企業内弁護士の経験も有しており、実践的な法務に関する助言を行う。 事務所名:弁護士法人コスモポリタン法律事務所 事務所URL:https://www.cosmo-law.net/