野良猫増やさず「地域猫」に 三重・明和町のボラ団体 譲渡会も開き、数減らす
避妊などで一代限り、共存目指す 住環境などトラブルも解消へ
三重県多気郡明和町のボランティア団体「ココつナ~Share Hearts~」(高橋真衣代表)は6月30日午前10時から、中村の陽珠院(江和行住職)の薬師堂で、同所などで保護した猫の譲渡会を開いた。 同団体は、町社会福祉協議会の登録ボランティア団体として、「子育て」「動物愛護」「福祉」の三つのチームで活動している。町内で増えている飼い主のいない猫(野良猫)が抱える問題を解決するため昨年10月から「TNR+M」活動に取り組んでいる。 この活動は、野良猫を捕獲(Trap)、避妊・去勢手術(Neuter)して、元の場所に戻し(Return)、給餌やトイレ設置など管理(Management)するもの。さらに餌を与えている人たちに対して避妊、去勢手術の協力を呼び掛けることで、野良猫が地域猫として一代限りの命を全うできる環境を整備することを目指している。 全国では「寂しい」「かわいそう」などの理由で、避妊、去勢せずに餌を与えることで野良猫が増え、近隣住民とのトラブル多発が社会問題になっている。また高齢者が施設に入ったり、亡くなった後に猫だけが残されてしまうことも野良猫が増える要因になっており、町内でもこういったケースが増えているという。 この日は、町内と松阪市で保護猫活動をしている中村里美さん(57)=内五曲町=が保護した生後2~3カ月の子猫11匹を対象に開催。午前中だけで30人以上が来場し、2匹が里親との縁が結ばれた。 譲渡後は自費での避妊、去勢手術を条件とし、後日1週間程度のトライアルを経て正式に譲渡される。またスタッフによる飼育環境のチェックなども行うという。 高橋代表(41)=斎宮=は「明和町の野良猫を地域猫に変えていく取り組みは高齢者福祉にもつながる。活動によって人にも動物にも優しい町になってくれたら」と話している。
町も手術費用半額補助 今年から50匹分を予算化
同団体「動物愛護」チームが活動を始めてから今年6月までに、町内の野良猫95匹が避妊、去勢手術を受けた。しかし費用のほとんどがイベント寄付や自費で賄われており、活動に限界があった。 町ではこういった実情を受け、町内でTNR活動などを行っている団体などに対して、手術費補助金の交付を初めて実施する。費用の約半分を補助するもので、補助に必要な予算50万円を町一般会計補正予算に盛り込み、6月議会で可決された。 補助の対象となるのは町に届け出を行っている団体などで▶町内に所在地を有し、町内に生息する野良猫などの避妊、去勢手術を行う▶手術後は猫を元の場所に戻し適正に管理する▶手術済み猫であると識別できる処置を了承できること――を全て満たすことが条件。 補助金は、雌の避妊手術で1万円、雄の去勢手術で7千円が上限で、おおむね手術費用の半分が補助されることになるという。6月定例会では野良猫約50匹分の手術費用として予算50万円を可決した。