大阪拠点の劇団「空晴」劇団率いる代表が語る新作への思い
大阪弁の派手ではないけど静かでもない会話劇
2007年に旗揚げした大阪を拠点とする劇団「空晴(からっぱれ)」。劇団の公式ツイッターには「大阪弁の派手ではないけど静かでもない会話劇をやっております」と記されているが、ご近所さんなど近い存在だからこそ煩わしい関係性といった身近な世界観をユーモアたっぷりに表し、観客の心を温める芝居が人気を集めている。7日からは新作「となりのところ」を大阪・HEP HALLで上演中だ。 【拡大写真付き】妹尾和夫 蜷川幸雄さん悼む「あれだけ役者の気持ちわかる演出家いない」
「演劇の楽しさは、本番中」
今回の作品は、隣り合わせの3軒の家で暮らす3家族の話で、隣人同士ではあるがまだ距離をはかりかねている状態で「言っていい事」「言わなくていい事」を通じ、家族や友人関係を見つめ直す物語が描かれているという。 そして、作・演出も手がける岡部尚子をはじめ、上瀧昇一郎、小池裕之、古谷ちさ、南川泰規、駒野侃といった劇団員のほかに、山本ふじこ(劇団東京ヴォードヴィルショー)、孫高宏(兵庫県立ピッコロ劇団)が客演する。 「演劇の楽しさは、本番中、良い反応をもらえた時、感想を聞かせてもらった時ですね。稽古は基本的に好きではないのですが」と今回も作・演出も手がける同劇団代表の岡部は笑顔で語る。
芝居との出会いは「おむすびころりん」
そんな岡部は兵庫県出身。芝居というものにふれたのは、自身が住む地域で行われた「文化フェスティバル」で、地区のみんなで公演した「おむすびころりん」。近所の子どもらと「おじいさん」をパートごとに分けて演じたことだった。 中学では演劇部に入部。3年時には当時話題となっていたノストラダムスの大予言を基にしたSFファンタジーものの台本をみんなで書いたりした。高校時代には、放送部に入部し、3分のラジオドラマを作ったりして、声優を目指していた時期もあった。
就職するも「芝居をやりたい」思いふくらむ
高校卒業と同時に会社員になり演劇や声優の世界からは離れていた。しかし、3年がたち「芝居をやりたい」という思いがふくらんできた。 友人におもしろい劇団がないかを聞いては観劇し、演劇関係の雑誌に掲載されていた劇団の募集要項をみては考えた。そこで、入団できたのは「ランニングシアターダッシュ」だった。 この時、雑誌に載っていた募集要項の連絡先は団長の自宅で、たまたま自宅にいた団長が電話に出て入団を直訴。すると「来てみれば」と言われ、入団に至ったという。 後からわかったことだが、この時みた雑誌はたまたま古いもので、近くにあった新しい雑誌の募集要項をみていたら、連絡先は団長宅でなく事務所だった。 もし、新しいものをみていたら、団長から直接「来てみれば」と言われることはなかったのかもしれない。入団後は演劇に明け暮れ、楽しさや大変さを学んだ。