太宰府天満宮の初詣200万人超の見込み、太宰府市人口の30倍…AI活用し参道の混雑予測を提供
全国天満宮の総本宮で、学問の神様として知られる菅原道真公をまつる福岡県太宰府市の太宰府天満宮。正月三が日の初詣には、九州で最多の200万人を超える参拝が見込まれる。市の人口の約30倍、市全体の年間観光客数の4分の1がわずか3日間に1か所に集中する事態を控え、市や天満宮は渋滞、密集対策を講じるとともに、公共交通機関の利用や地元住民への配慮を求める。(大塚晴司) 【写真】通行が規制される太鼓橋
市によると、2023年度に市を訪れた観光客数は約881万人。このうち203万人が三が日に天満宮を訪れた参拝者だった。コロナ禍前の水準まで戻り、天満宮は25年の三が日も、天候に恵まれれば200万人以上の参拝を見込む。
天満宮を目指す車の渋滞は長年の課題だ。大みそかの午後10時頃から混み始め、年が明けた午前2時頃までがピーク。交通規制も行われ、時間帯によっては最寄りの九州自動車道太宰府インターチェンジから天満宮までの約6キロが1時間半以上かかるケースもある。
ピークを過ぎても慢性的に渋滞は続く。近年はカーナビの進化を受け、高い精度で車の少ない道に誘導されるため、住宅地の細い道にも次々に車が進入。地元住民は車での外出が困難になるだけでなく、インバウンドを含む来訪者の増加に伴うゴミや吸い殻のポイ捨て、民家の庭への投げ込み、トイレの誤った使用などにも悩まされているという。
参拝する日時の分散、渋滞の緩和につなげようと、市は15か所に計25台のライブカメラを設置。「交通情報案内システム」で、出発前の自宅や車内にいながらリアルタイムの渋滞状況を把握できるよう、5~10分おきに更新される映像を配信する。天満宮周辺を中心に規模が大きい駐車場14か所の満空状況や、AIを活用した、6日先までの日、時間ごとの参道の混雑予測も提供する。
「太鼓橋」密集対策で通行規制も
天満宮は31日午後10時頃から年が明けて密集状態が和らぐまでの間、境内の名所の一つ「太鼓橋」の通行を規制する。心字池にかかる三つの橋は過去、現在、未来を表しており、参拝前に渡ることで心身を清めるとされるが、県警から「密集した状態で橋の上にとどまることは危険」と指導を受け、迂回するなどして仮殿まで誘導する。
市は10月、観光公害対策を検討する会議を天満宮や地元自治会などと発足。「地元や環境に配慮したツーリストシップ」を求め、西日本鉄道が運行する「大晦日臨時電車」や三が日の太宰府直通急行「初詣号」などの公共交通機関の利用や、車と電車を併用するパークアンドライド、分散参拝を呼びかけている。