【毎日書評】なんとなくやっている「残念な会議」を「価値を生む会議」に変えるには?
ゴール(狙い)を定める
これまで著者が見てきた会議の多くは、「以前からやっているからとりあえず開催する」というものだったそう。つまり、「そもそもなんのために開催するのか?」「なにを達成したら成功といえるのか?」が不明瞭な状態のまま開かれていたということです。 しかしそれだと、参加者はどこを目指したらよいのかわからなくなってしまいます。お互いにいいたいことをいい合うだけで、きわめて生産性の低い会議になってしまう可能性が大きくなるのです。サッカーやバスケットボールにたとえるなら、ゴールが存在しない状況下で、両チームの選手がひたすらボールの奪い合いをしているようなもの。 したがって目標を達成するためには、「どこまでを目指すのか?」というゴールをあらかじめ決めておくことが大切なのです。 ゴールを何にするかによって、会議のアプローチ(進め方)や成否の判断が変わってくるはずです。(22ページより) なお、会議のゴールを設定する際には、“定めた目的を達成するための道のり”を俯瞰したうえで、「その会議を目的達成のどこに位置づけるのか」という全体観を意識して行うことが重要。そうでなければ、「会議のゴールを設定しても、目標達成までのプロセスを考慮すると不十分である」ということになりかねないからです。(19ページより)
ストレッチ目標と最低防衛ライン目標
また、狙いを定める際には「できればここまで達成したい」というストレッチ目標と「最低限、これだけは死守したい」という最低防衛ライン目標の2つを設定しておくことをおすすめします。(23ページより) 会議には考え方の異なる複数人が参加するため、程度の差こそあれ、なんらかの不確実性が伴います。そのため、スタート段階から議論が紛糾するようなら、あらかじめ設定しておいた「最低防衛ライン」を死守できるようにファシリテーションをし、議論が円滑に進むようであれば、ストレッチ目標の達成を全員で目指すようにするべきだということ。 まずは「その会議で何を目指すのか?」、そして「どこまでを目指すのか?」を準備段階で考え抜いたうえで、会議への招集時に参加者に伝えましょう。 また、会議の冒頭でも必ず「この会議の目的は何か?」「この会議のゴールは何か?」ということをしっかり説明・周知したうえで議論に入るようにしましょう。(23~24ページより) そうすれば、参加者が同じ方向を向いて議論をする手助けになるはず。つまり、結果的に意義のある会議になる可能性が高まるということです。(23ページより) 著者によれば本書の特徴は、短時間で効果的に成果を出すために、会議の常識とされていたことをあらためて問いなおしている点だそう。現状の会議の進め方に疑問を抱いている方、重要な会議を取り仕切ることになった方、組織の力によって業績を上げたいと考えている方などにとって、大きく役立ってくれそうな一冊です。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: フォレスト出版
印南敦史