JR九州新観光列車、「いさぶろう・しんぺい」と組む〝第三の男〟が判明! 関係筋が明かした予想外の正体は…「鉄道なにコレ!?」【第47回】
▽「いさぶろう・しんぺい」が選ばれた理由 新観光列車は3両編成の全車両グリーン車となり、両端の車両に計60程度の座席を設ける。これらの車両は「いさぶろう・しんぺい」の国鉄時代に製造されたディーゼル車両キハ47形を改造する。これらの車両に白羽の矢が立ったのは、もともと走っていた肥薩線で運用できなくなったため出番が限られており「総合的に勘案して転用可能な列車だと判断した」(JR九州)という。 「いさぶろう・しんぺい」は2004年3月から熊本―吉松(鹿児島県湧水町)間で走り、「日本三大車窓」の一つとされた通称「矢岳越え」(宮崎県えびの市)からの霧島連山の眺望を途中で楽しめるなど観光客に人気の列車だった。しかし、20年7月の豪雨による球磨川の氾濫で大きな被害を受けた肥薩線の八代(熊本県八代市)―吉松間が不通になり、運用できなくなった。 最近は博多駅と「小倉工場鉄道ランド」(北九州市)を結ぶ団体専用列車などに使われてきたが「運転本数は年間25本程度で、D&S列車の中でも稼働が少なかった」(関係者)のが実情だった。JR九州は「いさぶろう・しんぺい」を「2023年秋ごろに運行を終了して改造工事を行う計画だ」と説明している。現在の木材を多く使った昔の客車の雰囲気を味わえる時間は少なく、興味のある方は乗り遅れのないようご乗車いただきたい。
▽1両消えても3両編成の謎 「いさぶろう・しんぺい」の列車名は、肥薩線の難工事が完成した時期の鉄道院総裁だった後藤新平(ごとう・しんぺい)と、肥薩線人吉―吉松間が建設された時期の逓信大臣だった山縣伊三郎(やまがた・いさぶろう)に由来する。 これら2人の偉人の名前を取った列車を巡り、英国で1949年に公開されたミステリー映画「第三の男」さながらの謎が浮上した。新観光列車は3両編成になるものの、改造を受ける「いさぶろう・しんぺい」は現在2両しか残っていないという点だ。 もともと3両あったうちの1両は離脱し、西九州新幹線が部分開業した2022年9月23日に武雄温泉(佐賀県武雄市)―長崎間で営業運転を始めた「ふたつ星4047」(3両編成)の中間車に組み込まれたのだ。「ふたつ星4047」の残る2両は、22年3月21日まで吉松―鹿児島中央間を走っていた「はやとの風」に用いられていた車両だ。