【フィギュア】羽生結弦「RE_PRAY」で見せたプロの仕事 なぜ、彼はこんなにもストイックになれるのか?
競技者時代よりも追い込んだトレーニング
この日の羽生さんは、肉体を極限まで追い込んで滑っているようだった。公演の終盤では、激しく肩で息をし、ひざに両手を置くシーンも見られた。それでも、演じることはやめず、苦しい場面になるほど、自らを鼓舞するかのように激しい動きを見せているようだった。そして、羽生さんは千秋楽を万感の思いで終え、「達成感はありますね。やっぱり本当に」と胸を張った。 競技者として臨んだ最後の大会となった22年北京冬季五輪から、すでに2年の月日が流れた。その影響力は大きく、佐賀県が、佐賀公演後に発表した経済波及効果にも表れる。報道によれば、2月16日に発表された試算額は約4億8210万円。県がこれまで試算した中で最高額という。 プロという〝鎧〟をまとった羽生さんは、いまなお圧巻のパフォーマンスを演じ続けることができている要因は何か。人知れず、積み重ねてきた努力のプロセスを公演後の囲み取材で、少しだけ明かしてくれた。 「今までの自分と比較しても、一番練習してきたんじゃないかなと思うことができています。食事面や睡眠、色々なことにずーっと気をつかいながら過ごし続けた日々だったので、それがある意味報われた1日でもありました」
とくに佐賀でのパフォーマンスに納得ができなかったという羽生さんは、横浜での公演を迎えるまでに、これまで以上にギアを上げ、自らを追い込んできたという。 羽生さんは会場内でマイクを握った際、「ここまでくるのに、佐賀から1カ月弱ですかね。本当に休みなく、久しぶりに筋トレとかを一日6時間くらい、ほぼ毎日やってきて、やっとここまでくることができたなと思います」と語っていた。 囲み取材ではその詳細について、「例えばですが、朝起きて1時間、ストレッチとトレーニングを行います。そして、練習へ行って3時間、トレーニングとスケートして、帰ってきて、また1時間半トレーニングをして、寝る前にも1時間イメトレという日々をずっと繰り返してきました。(競技者時代に)試合をやっている時よりも練習をしたり、イメトレをしたりしてきました」と打ち明けた。