「恐れる必要はない」エジソンとジョーダンが教える、失敗から得られる最大の価値とは?
「いつも気を使い過ぎて、心が疲れてしまう」「このままで大丈夫なのか、自信がない」と不安になったりモヤモヤしてしまうことはないでしょうか? そんな悩みを吹き飛ばし、胸が晴れる気持ちにしてくれるのが『精神科医が娘に送る心理学の手紙――思い通りにならない世の中を軽やかに渡り歩く37のメッセージ』です。悩む人たちに40年以上向き合ってきた精神科医が、自分の娘に「どうしても伝えたかったこと」を綴った本書は、韓国で20万部を超えるベストセラーとなりました。本記事では、その内容の一部を紹介します。 ● 失敗のない成功はない それにしても、この世に失敗のない成功などあり得るだろうか? 赤ちゃんだって、歩けるようになるまで数え切れないほど転び、しゃべれるようになるまでずっとふにゃふにゃ言っているように、この無数の失敗と徒労の積み重ねが、成功の経験をもたらすのだ。 史上最も偉大な野球選手と称されるベーブ・ルースは、30年間にわたる選手生活で714本のホームランを放っているが、実はシーズン最多三振というワースト記録も何度か手にしている。 最高のバスケットボール選手としてその名をとどろかせたマイケル・ジョーダンも、9000回以上シュートを外し、300近い試合で敗れている。 発明王トーマス・エジソンも成功を収めるまでにたくさんの失敗を重ねている。発明品を世に出すまで1万回失敗したことを指摘されたとき、彼はこう答えたという。 「私は失敗したことなどない。ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ」 偉業を成し遂げた人を見ると、「あの人は特別に優れているのだろう」とか、「並外れた才能をもって生まれたのだろう」と思いがちだ。 しかし、当人からすると、成功とは、数多くの経験を経て手に入れた一つの過程にすぎない。 自ら好んで試し、新たな挑戦をやめなかっただけだ。彼らは失敗しても、そこから這い上がる過程で「挫折しても克服できる」という信念と自信を身に付けていく。恐れていた失敗を肌で感じたことで、それほど大したことではないと悟ったのだ。 世界最高峰のエベレストを含むヒマラヤ14座と2峰を制覇した登山家の厳弘吉も、38回に及ぶ命懸けの挑戦のうち登頂に成功したのは20回だ。その過程では、なすすべなく仲間の死を見守り、自身も何度も死線を越えてきた。 それでも彼はまた山へ向かった。それは恐れに打ち勝ったからではなく、恐れを認めたからだ。彼はこう語っている。 「人は私が成功した20回の登頂だけを見ている。しかし、私はそれを成し遂げるために経験してきた数多くの失敗を思う。人は記録を打ち立てた厳弘吉だけを見ているが、私は、一緒に山に登り命を落としていった仲間たちを見ている。人はヒマラヤの高峰と闘う私を見ているが、私は自分自身との闘いを見ている。自分と闘って勝つことこそ、本当の成功だからだ」 ひとまず何でもやってみなさい。うまくいくかいかないかは、二の次だ。 (本記事は『精神科医が娘に送る心理学の手紙――思い通りにならない世の中を軽やかに渡り歩く37のメッセージ』の一部を抜粋・編集したものです)
ハン・ソンヒ/岡崎暢子