【老後の貯蓄】70歳代で貯蓄が3000万円以上は約2割!「高齢者はお金持ち」と言い切れない理由
8月15日は、今年4回目の年金支給日です。年金は老後の貴重な収入源。貯蓄と年金で生活費を支出していくのが、老後生活の一般的なスタイルです。 ◆【写真4枚】70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額の円グラフ。高齢者世帯は「お金持ち」が多い?結果を見る 年金は厚生年金保険への加入期間や現役時代の給与額によって差が生まれます。しかし、それ以上に差が生まれやすいのが「貯蓄額」です。貯蓄は自分でつくる必要があることから、コツコツ貯められる人と頻繁に散財してしまう人では、金額に大きな差が生まれてしまいます。 貯め続けた老後資産や年金などにより「高齢者=お金持ち」のイメージを抱く人もいるでしょう。しかし、実情は人によって異なり、決して高齢者がお金をたくさん持っているとはいい切れないようです。 この記事では、70歳代の貯蓄額に焦点を当て、お金持ちが多いのか検証していきます。後半では、高齢者世帯に適した貯蓄の方法を解説します。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額はいくらか
はじめに、70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額を見てみましょう。 ・平均貯蓄額:1757万円 ・中央値:700万円 平均額は1757万円となっています。かつては「老後2000万円問題」といわれ、老後資産の必要額の目安となっていた、2000万円には届いていません。 また、中央値が700万円であることから、貯蓄のある人とない人の乖離が大きいと考えられます。 では、高齢者世帯は他の年代と比べて、本当に「お金持ち」なのでしょうか。次章で検証しましょう。
高齢者世帯は他の年代に比べて「お金持ち」が多いのは本当か
二人以上世帯と、そのうちの高齢者世帯の貯蓄額を比較してみます。 〈二人以上の世帯〉 ・平均貯蓄額:1901万円 ・貯蓄額の中央値:1168万円 〈65歳以上の高齢者世帯〉 ・平均貯蓄額:2414万円 ・貯蓄額の中央値:1677万円 貯蓄額の平均・中央値は、65歳以上の高齢者世帯が二人以上の世帯全体に比べて多い結果となりました。中央値を比較すると、二人以上世帯は1168万円ですが、高齢者世帯は1677万円で、約1.4倍の金額となっています。 高齢者世帯は、資産額自体は他の世帯に比べて多いようです。では、支出についても確かめてみましょう。 ●65歳以上のシニア世帯87.7%が「家計にゆとりがない」と回答 内閣府の「令和6年版 高齢社会白書」によると、65歳以上の世帯のうち、87.7%が「家計にゆとりがない」と回答しています。各回答の割合は以下のとおりです。 ・家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている:12.0% ・家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている:56.5% ・家計にゆとりがなく、多少心配である:23.7% ・家計が苦しく、非常に心配である:7.5% ・不明・無回答:0.3% 前述のとおり、65歳以上の高齢者世帯は平均貯蓄額が2414万円、貯蓄額の中央値が1677万円で、全世帯平均よりも多い結果となっています。にもかかわらず、8割以上の人が「家計にゆとりがない」と回答。さらに、全体の約3割以上が「今後のお金が心配」と回答しているのです。 毎月の生活費の支出や心配に感じる貯蓄額のボーダーラインは人によって異なります。なかには、老後への備えが十分あるにもかかわらず過剰にお金のなさを心配する人もいるでしょう。歳を重ねてどれだけお金を貯めたとしても、将来への不安が消えないようです。 高齢者世帯の多くが、貯蓄額の割にネガティブなマインドを持っていることがわかりました。では、高齢者世帯の実際の貯蓄額を次章で確かめてみましょう。