監督・仲 里依紗、主演・秋山竜次。これで面白くならないワケがない!
── 秋山さんはご自身がファッションデザイナーや漫画家などさまざまな人になり切ってインタビューを受ける動画「クリエイターズ・ファイル」が人気ですが、今回は“カメラマン鏑木”という男を演じるにあたって、誰かの姿に憑依するというか役作りの共通点のようなものがありましたか? 秋山 やっぱり鏑木の人物像みたいなものはイメージしましたね。僕もクリエイターズ・ファイルの時には、服やカツラ、メイクなどが出来上がった瞬間に「あ、こいつなんだな」という感覚になるんです。だから今回も、衣装を仲さんに選んでもらって鏡を見た時に「ああ、こいつは人との付き合いも下手くそそうで、写真の事ばかりに時間を費やしていて、ガサツな部分がかなりあるヤツだな」と。風貌を見てると、何か見えてくるんです。この役も恰好がけっこうヤバいですからね(笑)。 仲 けっこうヤバい(笑)。ずっと一緒のフリース着てて、たまにシャツ替えるぐらいで。 ── お互い人物像の細かい打ち合わせをしなくても、例えばそのフリースひとつで人物像を作ることが出来たんですね 秋山 そうですね、ファッショナブルで社交的なワケがない、あいつが(笑)。 仲 あと自分が役者をやっていて感じていたのが、出演者が服を変えすぎだということ。普通の人はそこまで服は持ってないんじゃないかという疑問もあったんです。だからリアリズムというか、同じ感覚にしました。
仲さんはどんだけあらゆる方向に興味がある人なんだ(秋山)
── さらに今回は鏑木のセリフがひとつもないというのもポイントですね。 仲 秋山さんに出てもらうためというのもありましたが、役者としていつも思うのが、主演の人はめっちゃ喋ってるなと(笑)。さらに主演の人って、すごくいい人が多いんですよね。でも、3番手ぐらいの役の方が癖があったりちょっと嫌な感じだったりして、インパクトに残ることが多い。自分もそういう普段体験できないようなことや人物の方が、やってて楽しいんですよね。 ── そんな日頃から役者として疑問に思っていたことを、今回は変えてみたと。 仲 そうですね。主演はたくさんのセリフがあって、説明があって、さらにいい人で……みたいなことが、正直疑問だったんです。主演って何でこんな八方美人なんだろう、そんなヒーローみたいなヤツはいないぜって(笑)。 秋山 毎回衣装もいろいろ変えて、華やかでね。