マクロン×ルペン決選投票 直前のハッキングとフェイクニュースの影響は
フランス大統領選挙の決選投票が7日(現地時間)、いよいよ始まった。先月23日に行われた1回目の投票では、これまでのフランス大統領選挙と同じく、過半数を制する候補者は出ず、得票率の高い上位2名が決選投票に進んだ。中道のマクロン氏と、右派のルペン氏の一騎打ちとなる決選投票。フランスの国内問題に加えて、EUや移民も争点となっているため、各国がその結果に注目している。しかし、「どちらにも投票したくない」という有権者も少なくないようだ。結果は日本時間8日午前にも大勢が判明する。 【写真】仏大統領選の有力候補に浮上した39歳 マクロン前経済相とは何者か?
無記名投票や棄権が激増するという予測も
7日の決選投票を前に、フランスでは3日夜に中道のマクロン候補と右派のルペン候補によるテレビ討論会が行われた。経済政策や、EUとの関係、テロ対策などについて、両候補は2時間半にわたって持論を展開。厳しい言葉で互いを攻撃する場面も少なくなく、マクロン候補はルペン候補の「フランス第一主義」が国内の敗北主義精神を助長させている一因だと非難した。ルペン候補は、マクロン候補が海外のオフショア口座に資金を隠していると主張したが、根拠のない情報で大統領選に影響を与えようとしたというマクロン陣営の申し立てを受け、討論会後に検察当局が調査を開始している。非難合戦という印象の強い討論会であったが、軍配はマクロン候補にあがったようだ。 レクスプレス誌とBFMテレビが共同で行った最新の支持率調査では、62パーセントのマクロン氏が38パーセントのルペン氏を大きくリードしており、7日の決選投票でもマクロン氏の勝利を確実視するメディアは少なくない。4月23日に行われた1回目の投票では、マクロン氏が23.8パーセント、ルペン氏が21.5パーセントをそれぞれ獲得し、上位2名による決選投票に進出した。19.9パーセントを獲得して3位につけた共和党のフィヨン候補と、6.4パーセントを獲得した社会党のアモン候補(5位)は、敗北後に「決選投票ではマクロンに投票してほしい」と呼び掛けており、2人を支持した有権者の票の多くがマクロン候補に流れると見られている。 19.6パーセントの得票率を得て、フィヨン候補に肉薄する形で大統領選挙を終えた急進左派のメランション候補は、他の主要な候補とは異なり、決選投票に進んだ候補を支持する呼びかけは行わなかった。ニュース専門チャンネルの「フランス24」は3日、メランション支持者の約3分の2が、投票を棄権するか白紙投票を行う考えだという世論調査の結果を伝えている。メランション候補は1回目の投票で約706万票を獲得しており、パリ北東部のセーヌ=サン=ドニ県やフランス南部のアリエージュ県では最も多くの票を獲得している。メランション支持者の3分の1はマクロン候補に投票する見通しだが、新自由主義者のマクロン候補に対するアレルギーは少なくない。 昨年の米大統領選挙では、ミシガン州で行われた民主党予備選挙で、選挙前の支持率調査で21ポイントの差でリードしていたクリントン候補がサンダース候補に敗れている。1969年以降、フランス大統領選挙の決選投票で、投票前の世論調査と実際の選挙結果との間で最も大きな差が出たのは2002年で、その差は8.4ポイントだった。昨年のアメリカ大統領選挙で発生したような、大きなサプライズは起こるのだろうか?