お盆シーズン“トンネル走行時”の事故を防ぐには?「入口付近の交通状況」「トンネル内で起こる感覚の変化」に要注意
TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」内でお送りしている「JA共済 presents なるほど!交通安全」。8月9日(金)の放送は、JAF(日本自動車連盟)東京支部 JAF認定セーフティアドバイザーの杉本実さんに、長いトンネルを走行するときの注意点について伺いました。
◆トンネル進入時は3つのポイントを意識
夏の行楽地や帰省で長距離ドライブに出かける際、走行中に長いトンネルを通過する機会が多くなります。トンネルを走る際は普段と環境が大きく変化するため、走行時にいくつもの注意点があります。まずは、トンネルの進入前に気を付けるポイントを紹介します。 ポイント①「トンネル入り口付近の交通状況を確認」 トンネルの入口付近では速度を落とす車がいたり、渋滞が発生していることもありますので、周囲の状況に合わせて適切な速度と車間距離を心がけましょう。 ポイント②「信号・情報板を確認」 トンネル入り口には信号・情報板が設置されている場合があります。“赤信号”“進入禁止”などのメッセージがあれば、それに従います。 ポイント③「ヘッドライトの点灯を忘れない」 オートライト(周囲の明るさをセンサーでキャッチして、自動でヘッドライトを点灯する機能)が搭載されている車は多いですが、きちんと機能するかチェックしましょう。
◆トンネル内で起こる感覚の変化に注意
トンネルに入ることで、感覚の変化が生じます。 トンネル環境による人間の感覚への影響①「明順応と暗順応」 目が暗さに慣れることを暗順応、明るさに慣れることを明順応と言いますが、杉本さんは「これらの現象は、特に日中の運転中でトンネルを出入りした際に顕著に発生します」と説明。 明るいところから暗いトンネルに入ると、慣れるまでは暗くて視界が見えづらくなり、反対に暗いトンネルから明るい外に出ると、慣れるまでは眩しくてよく見えません。それが原因で、トンネルの出入り口で事故が発生することも。前の車との車間距離をしっかりとって、スピードを出し過ぎないように注意しましょう。 トンネル環境による人間の感覚への影響②「視覚吸引作用」 人間には、目線の方向に魅力的なものや危険なものがあると、無意識に近づこうとする習性があります。例えば、トンネルで隣の車を意識するあまり、その車の方向に無意識に寄せてしまったり、壁を意識しすぎて、壁に寄せてしまうケースがあります。トンネル内では前方の白線を特に意識するようにして、真っすぐ走ることを心がけましょう。 また、トンネルでは近くに壁が迫っていて視界も暗いです。すると、心理的な圧迫を感じてスピードを落とすドライバーがいますので、前の車がブレーキを踏む可能性を常に想定してください。そして、片側2車線のトンネルで“横の車が幅寄せしてきた”と感じる場合は“壁にぶつかるかもしれない”という心理が影響している可能性があります。周囲の状況を把握し、冷静な走行をしてください。 トンネル環境による人間の感覚への影響②「追従静止視界」 ドライバーは周囲の背景が流れることで速度を感じる“流体刺激”に依存しながら走行していますが、「トンネルや夜間の高速道路では刺激が弱まるため、速度感覚を失いやすくスピードコントロールが難しくなります」と杉本さん。 周りの車に追従していると速度感覚が鈍り、自分の車を含めて周囲の環境が静止しているかのような錯覚に陥ることがあります、これが“追従静止視界”です。この状態になると、前の車が速度を落としても認知するのが遅れ、それによってブレーキが間に合わなくなる恐れがあります。“止まっているように感じる”と自覚したら、速度を少し落として視野を広げるなど、適切な刺激を自分に与えるようにしましょう。 普段の環境とは異なる“長いトンネルの走行”では、今回お伝えしたポイントに気を付けて安全運転を心がけてください。 (TOKYO FM「JA共済 presents なるほど!交通安全」2024年8月9日放送より)