注目のLUUPは躍進か岐路か!?「脱・電動キックボード」の動きはどうなる? 運転マナーが与える市場への影響とは
●業界内で広がりをみせる“脱・電動キックボード”
日本もいま、規制を強化するか否かの決断を迫られる局面にある――電動モビリティ業界ではそうした見解が広がりつつあります。 もし、パリやメルボルンのようにレンタル事業禁止となれば、全国1万カ所までポートを拡大したループにとっては大きな痛手に。前出の販売会社の代表がこう話します。 「だからこそループは警察や国とのパイプをより太くし、規制強化の動きを抑えるために、元警視総監を経営陣に招いたのではないか。そう見ることもできます」
規制強化で市場が急速に萎むリスクを抱えるなか、“脱・電動キックボード”の動きが広がり始めています。電動モビリティを開発・製造する「glafit(グラフィット)」(和歌山市)の鳴海禎造代表がこう話します。 「電動キックボードは法改正によってシェアリングサービスを中心に利用者が急増しましたが、一気に過熱したブームというのは衰退も早い。そのことはフランスやシンガポールといった海外の電動キックボード市場の現状が物語っています。 弊社も一般原付のキックボードを製造販売していましたが、シェアリングがキックボードで普及するのであれば、我々は他のタイプのものにしようと思いました」 その後、「グラフィット」が“ブーム後”を見据えて開発したのが、“免許のいらないバイク”=「電動サイクル」です。見た目は自転車、性能は電動バイクという「いいとこ取りをした、これまでありそうでなかったパーソナルモビリティです」(鳴海代表)。着座型である点が電動キックボードと根本的に異なり、特定小型原付なので16歳以上なら免許は不要、ヘルメットは努力義務で運転できます。 「着座型なので転倒リスクが少なく、女性やシニアの方でも安全に運転できます。車体の構造上、ふたり乗りはできず、見た目はほぼ自転車なので、電動キックボードのように街中で走っても“悪目立ち”はしません(笑)」 「グラフィット」は、ソフトバンクが出資するシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING(オープンストリート社運営)」に電動サイクルの車両を提供。現在、千葉市や和歌山市など首都圏と関西の一部エリアでシェアサービスが始まっています。