バイデン政権、暗号資産に対する態度を軟化か
アンチ暗号資産議員の影響力低下?
そういえば、ウォーレン議員はバイデン政権で影響力を失いつつあるのかもしれない。連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corp:FDIC)のマーティン・グルーエンバーグ委員長は21日、上院銀行委員会のシェロッド・ブラウン委員長が辞任を求めたため、退任すると発表した。 この動きは暗号資産には直接関係しないが、グルーエンバーグ氏はウォーレン議員の腹心として知られており、暗号資産に対する見解がほぼ同じであることは特筆に値する。例えば、グルーエンバーグ氏のリーダーシップのもと、FDICは2023年に3つの中堅銀行を崩壊させた金融危機の際、暗号資産に対して強硬路線をとった。 FDICは、リスク管理の不備と無能な経営陣を主な理由としているが、シグネチャーバンクの「暗号資産業界との関連と暗号資産業界からの預金への依存」も破綻の主な原因と報告書で述べている。 FDICは同年、米国の銀行が直面するリスクに関する年次報告書に暗号資産を正式に追加し、管理下の企業と「強固な監督上の議論」を開始した。 さらに、キャッスル・アイランド・ベンチャーズ(Castle Island Ventures)の共同創業者、ニック・カーター(Nic Carter)氏は、同氏が「オペレーション・チョーク・ポイント2.0」と呼ぶ、暗号資産業界を体系的に機能不全に陥れるための米政府による一連の作戦(この名称は、不愉快な業界から銀行サービスを取り上げようとするオバマ時代の取り組みに倣っている)の主要な「立案者」の一人としてグルーエンバーグ氏を考えている。実際、FTXの破綻後、ホワイトハウスは暗号資産に関連する初のファクトシートを発表し、実質的に取り締まりを要求した。 だが、ここで考慮すべきいくつかの大きな注意点がある。まず第一に、グルーエンバーグ氏は、FDICではセクハラが蔓延しているとのウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によって政治的圧力を受けて辞任した。 グルーエンバーグ氏自身は、ハラスメントで告発されたわけではないが、有害な職場風土を放置していたことは確かで、ブラウン上院議員が彼の更迭を求めたのはそのためだ(ウォーレン議員はこれを「政治的動機」と呼んだ)。 つまり、暗号資産は更迭要求の動機ではなかった。しかし、一部の政治評論家は、グルーエンバーグ氏を取り巻く状況をウォーレン派の影響力衰退の兆しと見ている。 例えば、今年11月の上院議員選挙でウォーレン上院議員に挑戦するジョン・ディートン氏は、ウォーレン議員が「不名誉な操り人形の1人をそのままにしておくために守りを固めた」ことは「恥ずべきこと」だと述べた。 議会はホワイトハウスではないし、ホワイトハウスはSECでもないことを認識するのは重要だ。つまり、バイデン政権が突然ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長や議員たちに、暗号資産に対して手加減するよう指示したと考える根拠はない。だが、これらはすべて個別の出来事とはいえ、暗号資産にとってはポジティブな展開だ。 イーサ現物ETFが承認される可能性については、SECが発行予定者と生産的な会議を行っていなかったため、難色を示していたというのが一般的な見方だ。そして、CoinDeskの政策専門家ジェシー・ハミルトン(Jesse Hamilton )記者が言う通り、「最近、そうした会議がより生産的になったという事実は、必ずしも方針の転換があったことを意味しない」。 しかし、もしこれらの動きの背後に本当に推進力があったとしたらどうだろう? 広範な大転換を説明できるものは何だろうか? そして、なぜ民主党政権は今になって突然、親暗号資産的になったのだろうか?