岩手の一大観光地「小岩井農場」はかつてサラブレッド生産牧場だった!? 不来方賞にも“小岩井血統”の出走馬あり
盛岡競馬場では1日、メインにビューチフルドリーマーカップが行われた。特徴的なそのレースタイトルは、かつての名繁殖牝馬から取ったもの。ビューチフルドリーマーがけい養されていた小岩井農場は、岩手県が誇る一大観光スポットだが、古くはサラブレッド生産牧場だったことをご存じだろうか。 【写真】“小岩井血統”のパッションクライ 岩手県の雫石町と滝沢市にまたがって位置する日本最大の民間総合農場である小岩井農場。場内では動物とのふれあい、特産品を使った食事を楽しめる。乳製品などで知られる小岩井乳業の母体でもあり、全国的によく知られた名前ではないだろうか。 今でこそシェアの大半は北海道だが、岩手県を含む東北地方はかつて日本有数の馬産地であり、小岩井農場でも1949年までサラブレッドを生産していた。当時使っていた厩舎や馴致のための円形馬場も場内に健在。代表的な生産馬には、史上初のクラシック三冠馬セントライトや、ダービー親子制覇を達成するカブトヤマ、単勝500倍超でダービーを勝つタチカゼなどがいる。 当時の馬産は軍馬育成の側面が強く、各地の御料牧場だけでなく、民間での生産も奨励された。そこで小岩井農場は海外から繁殖牝馬を輸入。ビューチフルドリーマー、キーンドラー、フローリスカップ、アストニシメントなどを迎え入れた。 小岩井の生産馬は先の通り、競馬界で存在感を示したが、太平洋戦争の終戦後はGHQの占領政策が影響して育馬事業を廃止。だがその後も、“小岩井血統”は枝葉を広げた。フローリスカップ系からはスペシャルウィークやウオッカ、ビューチフルドリーマー系からはカブトヤマやシンザン、アストニシメント系からはメジロマックイーンやオルフェーヴルが出ている。 3日は盛岡競馬場で不来方賞が行われるが、有力馬の中ではパッションクライがアストニシメント、ブラックバトラーがフローリスカップの子孫。多くの人びとが知る「小岩井」には日本競馬発展の歴史があり、今なお小岩井血統は影響を与え続けているのだった。