”農・漁循環”へクラウドファンディング ホタテ貝殻で畑を元気に 北海道津別町
北海道津別町の矢作農場は、JAや地元大学と連携し、ホタテ貝殻を使った土壌改良材の効果を実証するためにクラウドファンディング(CF)を始めた。実証では、タマネギを栽培して効果や収量などを確かめる。ホタテ貝殻を持て余す地域は多く、各地で土壌改良材の活用を広げることで、農業と漁業の連携による循環型農業の拡大につなげる。 オホーツク地域など道内では、ホタテ漁が盛んだが、加工工程で貝殻などが廃棄物として大量に発生。その処理や有効活用が大きな課題だった。 課題解決に向け、北見工業大学では貝殻を使った粒状の土壌改良材を開発。原料にはテンサイの製糖過程で発生する廃糖蜜も使用する。同地域の常呂町産業振興公社で量産・販売し、近隣農家を中心に普及が進む。 このような循環型農業の拡大を目指し、同農場の矢作芳信さん(67)は今回のCFに取り組む。JAつべつやJAところ、北見工業大学などと連携し、100万円を目標に実施する。集めた金額は実証や研究費に充てる。 約40アールでタマネギを栽培し、石灰石から作られる土壌改良材と比較する。単年での試験を想定するが、目標金額以上となった場合、同じ農地で翌年以降も続ける。CFの募集は7月19日まで。 返礼品には、乾燥ホタテの貝柱やJAところの「ピンクにんにく」を使った加工品、今回栽培するタマネギを用意した。矢作さんは「北海道の有名なホタテの貝殻を、ただ捨てるだけではもったいない。有効資源にして、SDGs(持続可能な開発目標)につなげたい」と意気込む。
日本農業新聞