【40代・50代、知れば知るほどおもしろい!ホルモンの世界②】痩せホルモン「アディポネクチン」「インクレチン」を増やして、効率よくダイエット
作り方は、緑茶とコーヒーを1:1で割り、そこに市販のおからパウダーをティースプーン1杯程度混ぜるだけ。緑茶のカテキンにも、コーヒーに含まれるクロロゲン酸にも脂肪燃焼効果があり、おからパウダーのβ₋コングリシニンとの組み合わせで、さらに効果がアップするのです。おからパウダーは、食物繊維が豊富で腹もちもいいうえ、筋肉の材料になる良質なタンパク質をとることもできます。1日3回、食前に飲むのがおすすめです」
食後の血糖値を下げ、食欲を抑える働きがある「インクレチン」
では、もうひとつの痩せホルモン「インクレチン」は、どのようなホルモンなのだろうか? 「インクレチンは、食事をとることによって小腸などから分泌される消化管ホルモンです。インスリンと協調して、食後に高くなった血糖値を下げる働きがあるため、肥満治療薬にも使われています。インクレチンには、GLP-1と、GIPというふたつのホルモンがあり、このうちのGLP-1には、インスリンの分泌を促進する作用や、食欲を抑える作用があります。 GLP-1は、小腸に食べ物が届くと分泌され、脳や膵臓(すいぞう)、胃に合図を送ります。すると、脳は全身に満腹の指令を出し、胃の動きがゆっくりと休息モードになり、膵臓はインスリンを出して血中の糖を回収し始めます。つまり、GLP-1がしっかり分泌されると、食べすぎず、太りにくくなるのです」
<インクレチンの働き> ・食欲を抑える ・インスリンの分泌を促して血糖値を下げる ・胃の動きを遅くするので、少量でも満腹感を感じやすくなる ・グルカゴン(血糖値を上昇させるホルモン)の分泌を抑制する
インクレチンは、肉から食べる「ミートファースト」で増やせる
では、インクレチンを増やす方法とは? 「インクレチンは食物中の栄養素に反応して分泌されるのですが、食べる順番では、ご飯や野菜を先にとるより、肉や魚などを先にとるほうが、分泌量が増えることがわかっています。そこでおすすめなのは、肉から食べる『ミートファースト』です。 最初に肉をとることでインクレチンが増え、それによって膵臓からインスリンが分泌され、食後の血糖値の上昇が抑えられます。また、食欲抑制効果や満腹感も得られます。肉のタンパク質は腸内細菌と結びつくと短鎖脂肪酸になり、それによってもインクレチンが分泌されます。ダイエット中は肉を控えがちですが、野菜ばかりとっているとタンパク質が不足し、代謝が落ちて痩せにくくなったり、髪や肌の老化も進んでしまうので要注意。肉を積極的に取り入れることが大切です」 40代、50代からは無理な食事制限は禁物。ふたつの痩せホルモンをうまくコントロールして、健康的に太りにくい体をつくろう。
【教えてくれたのは】 工藤孝文さん 内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学し、食行動異常について研究。現在、福岡県みやま市の工藤内科で、糖尿病内科、ダイエット外来、漢方治療を専門とし、地域医療にあたる。著書は『人生が変わるホルモンコントロール術 はたらくホルモン 朝1杯の牛乳が夜の睡眠を変える』(講談社)など多数。 写真/Shutterstock 取材・原文/和田美穂