もらい事故の中村仁と「過剰に信じすぎた」小林利徠斗/TGR-DC育成ドライバーのマカオGP2日目
走行2日目を迎えた第71回マカオグランプリ。メインレースとなるFIAフォーミュラ・リージョナル・ワールドカップではこの日フリー走行2回目(FP2)と予選2回目(Q2)の2セッションの走行が行われた。 【写真】第71回マカオグランプリ 小林利徠斗(TOM'S Formula) Q2はドライコンディションとなったが、TGR-DC(TGRドライバー・チャレンジ・プログラム)育成ドライバーで今大会にTOM’Sから参戦する中村仁と小林利徠斗はそれぞれクラッシュでセッションを終え、予選結果は中村が13番手、小林が23番手となった。 走行初日を日本勢トップで終え、迎えた待望のドライコンディションとなったQ2でも一時は暫定で6番手につける好走を見せていた中村。その周回もセクター3で自己ベストを更新する走りを見せていたが、予想外の出来事が中村の身を襲った。 最終コーナーとなるターン23(Rベンド)で背後につけていたジェームズ・ウォートン(ARTグランプリ)が中村に追突。弾き出された中村はそのままアウト側のバリアに激しくヒット。これからさらにタイムを刻んでいこうという最中で予選を終えることになった。 「メルコ・ヘアピンあたりから相手が後ろにいることはわかっていました。アタックラップでしたので自分もプッシュしていていたのですが、ターン23で追突されたかたちです」と、中村。 「僕自身普通に走っていたつもりですが、相手からすれば僕がブレーキを早く踏んだように見えたようで、『僕も急いでブレーキを踏んだつもりだけど(当たってしまった)』ということを話していました。ただ、前のクルマがブレーキを踏んでから後ろのクルマがブレーキを踏んでももう遅いので、納得はいかない当たり方ではありました」 なお、Q2終了後にこのアクシデントに対する審議が行われ、ウォートンに対し3グリッド降格ペナルティが下ることになった。とはいえ、ここからタイムアップというタイミングでのもらい事故だけに、中村の悔しさは計り知れない。 「ちょうどセッションも折り返しを迎えるころだということもわかっていたので、このあとニュータイヤを1セット履こうかなと思っていたなかでのクラッシュでした。もっと攻めることができそうなタイミングでのクラッシュだっただけに……久しぶりに怒りましたね」 中村の心の底から湧き出た感情が声になって出たことは国際映像でも確認できるとおりだ。ただ、Q2を終えてパドックに戻ってきた中村は冷静に、明日行われる予選レースでポジションを上げるにはどうすればいいのか、巻き込まれないように何をすればいいかを考えていた。 「明日の予選レースは、まずスタートが大事ですのでしっかりとスタートを決めることを最初の目標にしています。おそらくリスボア・ベンド(ターン3)は何かが起こると思うので、去年までのレースの映像をしっかりとチェックして、スタート直後の自分の位置を確保して、有利な状況を作ることができれば巻き込まれることもないと思います。そうなれば、逆にポジションを上げることも可能だと考えています」 「今日の走行でも自分の成長を実感できていますし、明日(予選レース)、明後日(決勝)はもっといいペースで走ることもできると考えています。まずは予選レースでどんどんと順位を上げることが明日の目標です」 一方、小林はQ2の4度目の赤旗が明けて、各車がアタックに入ったなか、ターン22(フィッシャーマンズ・ベンド)で単独クラッシュを喫してしまった。 「あの周回はアタックラップで、これまでのセッションよりもいい感触だったので攻めていました。そのなかで、過剰にいろいろと信じすぎた部分がありました。結果的にはブレーキが遅れてしまい、オーバースピードでターンインして止まりきれずクラッシュとなりました」と、小林はクラッシュを振り返る。 「マカオでは少ない走行時間のなかでアジャストしなければいけないということは、ここに来る前から知っていました。ただ、少ないながら確保されている走行時間を、自分のクラッシュで結果的に潰してしまったことは悔しいですし、準備していただいたチームの皆さんには申し訳ないです」 3セッション連続して、セッション途中でマシンを降りることが続いてしまった小林。それでも、明日に控える予選レース、明後日の決勝に向けた自信は失われていない。 「明日、明後日に向けては……決して簡単なことではありませんが、改善できる部分を見つけて、少しでも改善することができればと思います。ペースはもっと上げられる自信はあります。明日からは予選レース、決勝とバトルも必要なセッションとなるので、バトルできる場面では、しっかりと頑張っていきたいと思います」 第71回マカオグランプリのFRワールドカップ、明日16日(土)の日本時間16時30分からは、決勝のスターティンググリッドを決する10周の予選レースが行われる。TGR-DC育成ドライバーふたりの戦いに期待したい。 [オートスポーツweb 2024年11月15日]