米利下げ予想、年内2回に市場傾く-10年債利回りは4.5%視野
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度による年内3回の0.25ポイント利下げに対するトレーダーの確信は急速に失われつつあり、市場は現在、2回の利下げ予想に傾いている。
金利スワップ市場は今年60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度の米利下げを示唆しており、利下げ2回の可能性が最も高い。ブルームバーグのプライシングによれば、最初の利下げは9月までに行われると見込まれる。5日の時点では利下げ3回の可能性はまだ50%を超えていた。
8日の取引で米国債は値下がりしている。2年物利回りは3bp上昇の4.78%となった。10年債利回りは、長期金利が昨年の高水準に達するかどうかを見定める重要な節目として注目される4.5%に近づいている。
米国のスワップ取引は欧州時間に流動性が低下する場合があるが、市場は数日前から米利下げ予想を後退させている。米国の経済データは依然として底堅く、当局者らは緩和の必要性を否定。インフレが鈍化しない場合は利上げのリスクがあるとの見方すらある。3月の消費者物価指数(CPI)は今週発表される。
コメルツ銀行のストラテジスト、ライナー・ギュンターマン氏は「データによって、利下げのタイミングはますます分からなくなった。インフレの動きがこれ以上弱まらなかったり、あるいは再び加速したりする場合の適切な対応を当局は模索しているようだ」と指摘。
「5日に発表された予想外に強い雇用統計と、週末のタカ派的な当局者コメントを受け、10日の米インフレデータは極めて重要なものとなるだろう」と語った。
年初には、過去2年間での11回もの利上げがインフレを抑制するだけでなく経済にも打撃を与えるとの見通しから、市場は今年6回の利下げを織り込んでいた。しかし、インフレ率低下の動きが鈍り、経済指標は堅調を維持。投資家は、経済が利下げを必要としているとは考えられないペースで、株式や社債に資金を投入し続けている。