熊本市の新市庁舎計画の住民投票、市長は否定的考え「意思表す基本は議会」
熊本市の大西一史市長は16日、西日本新聞のインタビューに応じ、新庁舎建設計画の賛否を住民投票で問うよう市民団体が求めていることについて「住民投票は行政が市民の意思を把握する手法の一つであり、議会制民主主義を補完するもの」として一定の評価をする一方、「住民意思を表す基本は議会。その決議は極めて重い」と語り、この問題での住民投票の実施には否定的な考えを示した。 大西氏は新庁舎計画について「6年以上議論を重ね、有識者会議で現行の建築基準法が求める耐震性能を有していないとの結論を得た」と必要性を強調した。 その上で「市民の代表である市議会が熟議して決定するプロセスが重要だ」と指摘。9月定例市議会で建て替えに向けた一括業務委託に関する議案が可決されたことで、計画は大きく前進したと振り返った。 住民投票を巡っては「議論を通して議会制度をどのように捉えるのか。選挙や各議員との意見交換の場など市民の皆さんも考えることが大切」とも語り、議会制度を生かし市政に積極的に参画する姿勢を求めた。 大西氏は新庁舎の防災拠点としての役割にも言及。近年のゲリラ豪雨の多発に触れ「(現庁舎は)地下に電気設備があるなど水害リスクに弱く、急いで改善する必要がある」と述べた。 市庁舎跡地の利用策についても「多くの市民が未来に向けて希望を持てるようなものになるよう全力を挙げたい」と述べ、市民の理解が深まるよう説明を重ねていく方針を示した。 (藤崎真二)
西日本新聞