やはり行列できたか…ガソリン値上がり前の駆け込み給油 家庭では家計に響き、移動販売事業者は価格転嫁も考える
高騰を続ける燃料代抑制のため、政府が石油元売り会社に支給している補助金が19日から段階的に縮小することに伴い、鹿児島県内のガソリンスタンドでは18日、駆け込み給油が相次いだ。 【写真】給油待ちで、歩道側車線にできた車列=18日午後、鹿児島市郡元1丁目
国によるガソリン補助金の段階的な縮小が翌日に迫った18日、鹿児島県内のガソリンスタンドでは「値上げ前に」と多くの車が列を作った。来年1月16日にはさらに縮小され、国によると1リットル当たり小売価格は計10円ほど上昇する見通し。消費者からは物価高に苦慮する声が上がり、ガソリンが不可欠な移動販売事業者も頭を悩ませた。 政府は、レギュラーガソリンの全国平均小売価格を1リットル当たり175円程度に抑えるよう、石油元売り会社に168~185円まで60%(10円20銭)補助する。ただ、11月の閣議で段階的な縮小を決定。12月19日から30%(5円10銭)へ見直し、1月16日からは補助をなくす。185円以上の全額補助も検討を続ける。 鹿児島市郡元1丁目のエコスタンド工学部前店には18日午後3時ごろ、給油待ちの車が40台以上並んだ。平日約900件の来店が、ここ数日は1.3倍程度となった。アルバイトを2~3人増やしたほか、警備員2人も配置した。
同店含め県内6店舗を展開する「はーもにーりんぐ社」(同市)の中村哲人統括マネージャー(41)は「満タンにするお客さんがほとんど。多めに仕入れていたが、在庫切れで閉店した店舗もあった」と話す。 満タンに給油した同市田上2丁目の無職今村明さん(75)は「少しでも安いうちにと思って来た。年金をやりくりするしかない」。同市荒田2丁目の主婦倉ケ崎美保子さん(40)は「食品や光熱費が上がる中、ガソリンも高くなると家計に響く。外食を控えるなど節約しないと」と嘆いた。 県内約40店のスタンドを運営する南国殖産(同市)は10日から、店内掲示のほか交流サイト(SNS)の会員向けに早めの満タン給油を呼びかけた。カーライフ事業部の野崎晃央部長(58)は「普段なら年末は25日以降に忙しくなるが、前倒しされたような感じだ」。 県内のキッチンカー事業者ら48社が加盟する鹿児島ケータリング協会(同市)によると、車両によっては発電機にガソリンを消費する車種もある。新徳慎会長(50)は「移動販売だけで生計を立てている個人事業主は特に痛手。価格転嫁するところも出てくるだろう」と見通した。
南日本新聞 | 鹿児島