統一地方選がスタート 何のために、誰を選ぶの? 内山融・東京大学大学院教授
Q:国政選挙との違いはどのような点にあるのでしょうか?
A:まず、仕組みについては次のような違いがあります。国の場合、有権者が選挙できるのは衆参両院の国会議員です。そうして選出された国会議員が内閣総理大臣を選びます。つまり、国の場合には、「有権者→国会→内閣」という経路で政権が成立します。一方、地方自治体では、地方議会の議員に加えて、知事や市長などの首長も直接選挙で選びます。「有権者→議会」と「有権者→首長」という二つの経路があるわけです(「二元代表制」と呼びます)。首長と議会の間でチェック&バランスが働く仕組みになっており、米国の大統領制に近いシステムといえます。 政党対立の図式にも違いがあります。現在の国政では、自民・公明の与党に対し、民主・維新などの野党が挑むという構図になっています。一方の地方選は、必ずしも国政と同じの対立図式になっていません。今回の知事選で自民・公明と民主が対決する図式になっているのは北海道と大分だけです。神奈川や福岡など6県では、自民と民主が同じ候補を支持する相乗り型になっていますし、岡田克也・民主党代表の地元である三重では、同党が独自候補擁立を見送りました。
Q:投票率が年々下がっているようですが、なぜでしょうか?
A:2011年に行われた前回の統一地方選では、道府県議選の投票率が平均で50%を割りました。知事選の投票率も平均で53%弱でした。統一地方選が始まった当初(1940年代後半~50年代)はいずれも80%前後ありましたが、年々下落しています。 投票率に影響する要因はいろいろありますが、なかでも、自分の1票によって政治がどれだけ変わるかについての期待感が重要です。つまり、自分が1票を投じることによって県政や市政のあり方が大きく変わるとの期待を持てば、その人は投票に行くでしょう。しかし、「どうせ投票しても何も変わらない」と考える人は投票所に足が向かないでしょう。相乗り型の候補が増えたり、圧倒的に強い現職知事が出馬していたりすると、変化が期待しにくく、投票率の低下につながると考えられます。 そのほか、市町村合併で投票所の数が減ったことや、地域の共同体のつながりが弱くなってきたことなども、投票率低下の原因として考えられます。