不正な紙幣の持ち出しを水際で防げ 「紙幣探知犬」成田空港に配置、財務相にデモ披露
財務省関税局は3日、匂いを嗅ぎ分けて海外への不正な紙幣の持ち出しを防ぐ「紙幣探知犬」によるデモンストレーションを省内で披露した。紙幣探知犬は特殊詐欺などでだまし取られた現金の持ち出しを水際で防ぐため、8月から国内で初めて成田空港に配置されており、導入拡大が期待されている。 税関職員に連れられて登場したのは、ラブラドルレトリバーのライラックス号(6歳)。渡航者役の職員5人がかばんを持って一列に整列し、ライラックス号がかばんを順番に嗅いでいった。紙幣がないかばんには反応しなかったが、多額の紙幣を模した訓練用の資材が隠されたかばんには敏感に反応。その場で座り込んで職員に知らせていた。 紙幣探知犬は米国、カナダ、オーストラリアなどですでに導入されている。海外との行き来が急拡大している日本でも配置を求める声があり、違法薬物を探し当てる麻薬探知犬として活動している犬を、約1カ月間再訓練した。「紙幣の匂いがする場所で座り込めば、職員が遊んでくれる」と覚えさせるという。 関税法では、100万円を超える現金などを国外に持ち出す際に税関への申告が義務付けられている。ただ税関によると、近年は詐欺グループなどがマネーロンダリング(資金洗浄)などの目的で多額の現金を手荷物に隠して出国するケースが相次いでおり、水際対策が課題となっている。 紙幣探知犬は今後、成田以外の国際空港などにも順次配置される予定だ。 この日のデモンストレーションを視察した鈴木俊一財務相は「(紙幣探知犬の)役割はこれから大きくなってくるのではないか。一層の活躍を祈っている」と職員らを激励した。