仏さま見て心穏やかに 県立美術館でまるごと奈良博
●被災の志賀町老人クラブ鑑賞 能登半島地震で被災した志賀町老人クラブ連合会の20人が19日、金沢市の石川県立美術館で開催中の奈良国立博物館展「まるごと奈良博」を訪れ、仏さまと向き合って震災で傷ついた心を静めた。同美術館の谷口出(いずる)副館長による見どころ解説も同日始まり、25日の会期末を控え、日本の仏教美術史を伝える名品を見納めようと多くの人が訪れた。 志賀町老人クラブ連合会の会員は展示品にじっくり見入った。高貞子さん(78)は、仏像の造形美に感心しきりで「気持ちも穏やかになった」と話した。 会長の干場昌明さん(82)は「仏さまの顔を見たらほっとした。みんなで来られてよかった」と笑顔を浮かべた。鑑賞は県老人クラブ連合会の支援事業の一環で企画された。 作品解説では、谷口副館長が仏教美術史を時代背景を交えながら分かりやすくひもといた。仏教が日本に伝わってきたばかりの頃について谷口副館長は「新しいことを伝えるために、仏像は見る人に『ハッ』とさせる必要があった」と説明した。 密教の伝来や阿弥陀(あみだ)信仰への移り変わり、国宝「薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)」なども紹介した。解説は23日まで毎日午後3時から行われる。参加は無料。