イスラエル軍がレバノンのヒズボラ拠点空爆、356人死亡-対立激化
(ブルームバーグ): イスラエルは23日、レバノンにある親イラン民兵組織ヒズボラの拠点1300カ所を空爆したことを明らかにした。レバノン保健省によると、この日の空爆で356人が死亡した。双方の対立はエスカレートの一途をたどり、戦争拡大への国際的な懸念が高まっている。
同省によると、この空爆で女性や子供を含む1246人が負傷した。一方、イスラエル北部ではヒズボラの反撃により8人が負傷したと、同国の救急当局が説明した。
イスラエル軍のハガリ報道官は、レバノンでの空爆による死者の多くはヒズボラの「テロリスト」だと説明。ニューヨークでは、イスラエルのダノン国連大使がインタビューで「ヒズボラが民家やその他の民間施設にロケット発射装置を置いている」と述べ、イスラエルはそうした施設付近の人々に「離れるよう」促したと語った。
イスラエル軍が23日に標的としたのはティールやビントジュベイルなど幾つかの南部の町だったと、レバノン国営通信(NNA)は報じた。イスラエル軍は、次はベカー高原の東部地域に大規模な空爆を仕掛けると発表した。
イスラエルのレバノン空爆に対し、イラン外務省のカナーニ報道官は「危険な結果」を招くとテレグラムで警告。具体的な内容には触れていない。
イスラエルが昨年10月にイスラム組織ハマスとの戦争を開始して以降、同国とヒズボラのミサイルによる交戦は毎日のように続いていたが、先週に入り緊張が激化。米国は自制を促し、オースティン国防長官はイスラエルのガラント国防相と過去数日間で数回に及んだ協議の場で「外交的解決を成し遂げる重要性」を強調していると、米国防総省は説明した。
同省のライダー報道官は、「少数」の追加部隊を中東に派遣すると述べたが、詳細には言及しなかった。
イスラエル軍高官は、ヒズボラの軍事能力を低下させるために空爆作戦に重点を置いていると述べ、地上侵攻が差し迫っているわけではないことを示唆した。