アギーレジャパンの4-3-3は機能するのか
レイソルではFWを含めてあらゆるポジションを経験し、利き足の左足から放たれるキャノンシュートに加えて無尽蔵のスタミナで守備にも奔走した田中は、インサイドハーフに求められるプレースタイルを自分流に微調整して描いていた。「まずは運動量と、気の利いたポジショニングで相手を潰す。プラスアルファ、ロングシュートは自分の持ち味だと思っている。基本的にはちょっと守備的な感じで、味方が困ったときにはいいポジションを取ることを意識する。3人で声を掛け合って、距離感をコンパクトに保つこと。後は前線に出ていくタイミングを考えながらですね。出て行きすぎてもバランスが悪くなるし、ボールを失ったらすぐに戻る。いい形で中盤がボールを奪い、前の3人を押し上げる形がはまれば、かなりいい試合ができると思う」。 アントラーズでは元日本代表の小笠原満男とダブルボランチを組む柴崎も、豊富な運動量と走力という自らの武器を強く意識した上で、イメージを代表モードに切り替えている。「クラブで求められる役割とは違うし、自分のプレーをしたいという欲はあるけれども、(代表では)監督の求めるプレーをする。鹿島では前を向いてボールをもらうことが多いけど、代表では後ろ向きでパスをもらう場面が増えるだろうし、人を使うよりも使われることも多くなってくると思う」。 中盤の攻守を司る役目を担う細貝も、新布陣が機能したときのチームをこう思い描く。「攻守を素早く切り替えてボールを早い段階で奪えるようになれば、基本的に失点しないチームになるだろうし、そうなれば後ろからゆっくりと(ボールを)コントロールしながらチャンスをうかがっていくサッカーができると思う」。 ウルグアイ戦前日の時点で、アギーレ監督はミーティングを開催していない。相手の映像も選手たちに見せていない。前日練習で初めて守備に関する指示があったと田中が振り返る。「中盤の空いたスペースにボールを運ばれるとウルグアイはすごく速いので、そのときにいかに潰すかということでした」。 ボールホルダーへ素早くアプローチする。1対1で絶対に負けない。サッカーの基本であり、就任会見や代表発表会見、そして合宿初日で「戦うこと」を求めたアギーレイズムの原点がここからも伝わってくる。異例とも言えるミーティングなしの意図を、田中はこう汲み取る。「本当にシンプルにいままできているし、難しいことを言われているわけではないので。だからこそ、選手たちが強気に、堂々とプレーすればいい。準備期間が短い分、いままでやってきたこと、経験や自信といったものを出せばいいと思う」。