日本の動画コンテンツ市場、どう勝ち抜くか(2)Amazon Prime Video
「テレビ局は大事なパートナー」
──DAZNのようにスポーツ中継はしないのですか。 児玉 お客様に喜んでいただけるなら、やれることは何でもやっていきたい。米国では、アメリカンフットボールの試合をライブ中継しています。日本では、まだ具体的なことは何も決まっていませんが、おいおい考えていきたいですね。 ──ニュース番組はいかがでしょうか。 児玉 一度試みてお客様の声をお聞きしたい、と考えていますが、具体的なことはまだ何も決まっておらず、現在模索中です。当社は報道ネットワークを持っておりませんので、まずはパートナー探しからになるでしょう。ただ個人的に、ニュースは一度に多くの方に伝える同報性が大事であり、無料放送が一番適しているとも思っています。 ──日本市場で優位に立つポイントは何だと考えていますか。 児玉 当社は、他社と競争しているとはまったく考えていません。あくまでも、Amazon Prime Videoは、Amazonプライムのサービスの1つという位置づけであり、これ単独で収益を上げるつもりはないのです。 ──日本のテレビ局は競合する存在ですか。 児玉 大事なパートナーです。自局でも当然良いものを作られるでしょうが、それと同時に動画コンテンツを一緒に制作できれば、面白いと思います。 ──現状に満足していますか。 児玉 いえ、全然満足していません。Amazonプライム会員のAmazonプライム・ビデオ利用率をみると、日本よりも高い国があります。利用率を上げるために、さらなる利便性の向上と、動画コンテンツ数の拡大に取り組みます。 利用率拡大に向けて、フックになるのはオリジナルコンテンツです。オリジナルコンテンツは本当に重要だと考えています。日本の優秀な小説家や漫画家の方々や、地上波テレビ局、番組制作会社とパートナーを組んで、たとえば、何シーズンにもわたる大作ドラマなど魅力的なオリジナルコンテンツを作っていきたいですね。 (取材・文:具志堅浩二)
プロフィール 児玉隆志(こだま・たかし)1969年生まれ。株式会社フジテレビジョン、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社などを経て、2017年10月にアマゾンジャパン合同会社入社とともにコンテンツ事業本部長に就任。