日本の動画コンテンツ市場、どう勝ち抜くか(2)Amazon Prime Video
アマゾンジャパンコンテンツ事業本部長の児玉隆志氏
アマゾンジャパンは2015年9月に、動画配信サービス「Amazon Prime Video(プライム・ビデオ)」の提供を始めた。吉本興業のタレントが出演するバラエティなど、Amazon Prime Videoでしか見られないオリジナル動画の制作に力を入れ、他社との差別化を図る。 【連載】日本の動画コンテンツ市場、どう勝ち抜くか 日本地区で同サービスを担当する同社コンテンツ事業本部長の児玉隆志氏(49)に展開を聞いた。
ダウンタウン・松本のバラエティが人気
──日本でAmazon Prime Videoを開始してから3年。ここまでの手応えは。 児玉 一言で言えば順調です。日本でどのような動画コンテンツが喜ばれるのかを探し続け、改善を繰り返した結果、お客様の満足度や利用率は安定的に上がっています。 ──日本市場の特徴をどうとらえていますか。 児玉 日本市場では、日本で作られた動画コンテンツの人気が高い傾向にあります。Amazon Prime Videoをはじめる段階で、DVD販売や課金性動画配信サービスのデータから、日本では日本の動画コンテンツが強い、とある程度予想していましたが、サービス開始後にデータを分析すると、はたして予想通りでした。 ──日本は無料でテレビが見られる国です。有料動画配信の可能性をどう見ていますか。 児玉 日本の無料放送は充実しており、それが大きく変わることはないと思います。ただ、若年層を中心にパソコンやスマートフォンで動画コンテンツを見る傾向は間違いなくあり、今後もますます強まるでしょう。この動きに後戻りはありません。 ──オリジナルの動画コンテンツに力を入れていますね。 児玉 視聴者の数でランク付けした今年上半期(2017年11月13日~2018年4月30日)のランキング大賞では、日本のパートナーと制作したオリジナルコンテンツが、トップ10のうちの半数以上を占めました。今、オリジナルコンテンツでもっとも人気なのは、ダウンタウンの松本人志さんが出演するバラエティ「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」シリーズです。 ──人気の理由は何でしょうか。 児玉 何が起こるかわからない点でしょう。このバラエティは、密室で芸人たちが笑わせ合い、最後まで笑わなければ勝ち、というルールです。場合によっては、開始後すぐに全員が笑ってしまい、終了する可能性もありえます。このように、結果が見えないゲーム性の高いコンテンツは、毎回一定の時間で終わるとは限りませんので、再生時間に制約がないネット配信に適しています。