先端半導体にDXで対応する電子材料や電子部品--旭化成のデジタルソリューション事業
電子部品の領域では、上述の実績などを踏まえた新たな価値創出と顧客ニーズに対応したソリューションビジネスを拡大させるという。電子部品の開発、製造を手掛ける旭化成エレクトロニクス 代表取締役社長の篠宮秀行氏は、「当社の戦略はシンプルで、強みである化合物半導体とアナログ・デジタル混載IC、アルゴリズムを含むソフトウェアにより、グローバルでニッチな分野のトップを目指す」と説明した。 一例が電子ヒューズの「eFuse」になる。ヒューズは、過電流などを検知して電源供給を止める部品だが、機械式からeFuseに切替えることで交換などの保守が軽減されるなどのメリットがあるといい、現在では大電流を扱うEVで過電流などの異常を瞬時に検知して、電流を遮断する役割を担っているという。 また、ミリ波レーダーICも活用先が拡大しているという。ミリ波レーダーは、カメラや接触センサーなどを使わずに物体検知ができるため、同社は2024年1月に米国ラスベガスで開催された「CES」で、自動車内での子供の置き去りを検知するソリューション「Child Presence Detection」などを出展した。 篠宮氏は、「カメラ映像では車内でブランケットに包まれた子供を検知することができないが、ミリ波レーダーであれば電波がブランケットを透過して子供の存在を検知することができる。こうした性能を生かした活用先を広げるべくPoC(概念実証)に注力している」と話した。 外部企業などとの共創を通じたソリューションビジネスの拡大も推進するため、6月には新横浜(横浜市港北区)で技術開発拠点「AKM Co-creation & Technology センター」を開設する。自動車向けには「ガレージラボ」を中国や韓国、ドイツで設置しており、7月には米国にも新設するという。