先端半導体にDXで対応する電子材料や電子部品--旭化成のデジタルソリューション事業
今回の説明会で最新の取り組みとして挙げたのが、電子材料の主力製品となる感光性絶縁材の「パイメル」、潜在性硬化材の「ノバキュア」などになる。 パイメルは、半導体製造の前工程における半導体チップなどの表面保護膜、後工程の半導体パッケージ内の層間絶縁膜に使われている。同社は、パイメルのビジネスで2030年の売り上げを2022年実績の2倍に引き上げる戦略を掲げる。 AIやEVで需要が急拡大する先端ロジック半導体などへの対応を強化すべく、150億円以上を投じて富士支社内にパイメルの新工場と新品質保証棟を建設。パイメルの生産能力を2倍に引き上げ、世界トップレベルの半導体メーカーが要求する品質保証を可能にし、新工場は2024年12月の稼働開始を予定している。 山岸氏によれば、特に先端半導体ではメーカーから要求されるパイメルの品質検査項目が従来の3~4倍も多いといい、新品質保証棟は6月中に立ち上げる予定で、半導体メーカーと同水準のプロセスの工程で検査ができる設備を導入している。ここでは顧客先での欠陥ゼロを目指す「Zero Defect」を掲げ、DX施策での成果を品質保証体制に反映する。 山岸氏は、「原料やプロセス、工程検査などのあらゆるデータを研究開発段階から蓄積してデータベース化し、原料から検査までを一元化、デジタル化している。自動化とシステムによる管理を徹底することにより、人的ミスが発生し得ない品質保証を可能にする」と述べた。 またノバキュアは、2030年までに電子材料で“第4の柱”とする成長製品に位置付ける。デジタルソリューション事業統括部長の植竹伸子氏によれば、ノバキュアは同社独自のマイクロカプセル技術により、用途に応じた熱温度で硬化することができるため、半導体パッケージ内部のチップと基板や半導体パッケージとプリント基板の接着、最終製品における筐体のアセンブリーまで幅広い用途に対応できる。 電子材料では、このほかにもプリント基板の補強や絶縁に用いるガラスクロスや、基板の回路形成に使用する感光性ドライフィルムの「サンフォート」などがあり、植竹氏は、これらもAI向けなど今後の先端半導体需要の急拡大によるビジネス成長が期待されるとした。