防衛省と外務省の職員は「マイナ保険証」が“嫌い”?…自治体でもほとんど活用されず、会計検査院にも「ムダ」と烙印を押された理由とは
最もリスクに敏感なはずの「防衛省」が3.54%で最低…“イデオロギー”なんて関係ない
河野太郎デジタル担当大臣は以前、「健康保険証の廃止にイデオロギー的に反対する人は、いつまで経っても反対する」といった主旨の発言をしました。そのとき私は「イデオロギーは関係のない話だ」と思いましたが、この国家公務員の利用率からも、イデオロギーなんて関係ないことは明白です。「だからこそ深刻」なのです。 ちなみに、2024年3月時点の各省庁の利用率は次のようになっています。 ・総務省:10.31% ・厚生労働省第一共済組合:8.4% ・厚生労働省第二共済組合:4.88% ・農林水産省:7.66% ・経済産業省:7.15% ・文部科学省:5.74% ・外務省:4.5% ・防衛省:3.54% 外交や防衛に精通している人は、特にマイナ保険証が「危険だ」と判断しているのでしょうか。
マイナンバーカードは国家公務員の「社員証代わり」なのに…
聞くところによると、国家公務員はマイナンバーカードを社員証のように使っているそうです。したがって、全員が常に携帯していることになります。それでもマイナ保険証としては使わないと判断しているのですから、もう終わっていますよね。 健康保険証の廃止まで1年を切った段階で、国家公務員の利用率が10%にも満たないと 判明したことは、社会全体に大きな衝撃を与えたと思います。 しかし、それ以上に衝撃を受けたのは、きっとマイナ保険証推進側の当事者である厚生労働省とデジタル庁だったはずです。にもかかわらず、何とか広めようとシステム改修や広報活動に税金を湯水のようにつぎ込んでいるのですから、無能な人が行政の長に就くといかに深刻な事態になるか、おわかりいただけると思います。
全国の「自治体」でもほとんど活用されていないことが判明
マイナンバーカードがいかに使い勝手が悪く、不便であるかを別の角度から見てみましょう。 第一に挙げるのが、マイナンバーカードを図書館カードとして利用するのをやめる図書館が出はじめていることです。 徳島新聞の記事によると、徳島市立図書館ではマイナンバーカードを図書館カード代わりに使って本を貸し出すサービスを2024年5月26日に終了するとのことです。 河野デジタル担当大臣が「保険証をはじめ診察券や図書館カードなどあらゆるものがマイナンバーカード1枚で済む」、「マイナンバーカードはこれからのDXの基盤だ」と旗を振っている裏で、徳島市立図書館のサービスはひっそりと幕を閉じたのです。 徳島市立図書館は2019年にマイナンバーカードの利用を始めているので、積極的な図書館でした。それをなんで取り止めたかというと、一つ目の理由は「ほとんど利用されていなかったから」です。 2019年から2023年の5年間でマイナンバーカードを使った貸し出しが、たったの255件。図書館カードの登録者が13万4600人に対して、マイナンバーカードの利用者は78人しかいなかったそうです。そら止めるでしょうね。 もう一つの理由は、「法改正によりマイナンバーに対応するためのシステムを更新することが必要になり、費用がかかるから」です。ほとんど使われていないわけですから、取り止めたのは当然の判断です。 図書館カードを運用する程度のシステムなら、なにも大規模なマイナンバーシステムに連動せずとも、簡単な単独アプリで済ませたほうが合理的だということです。 なんでもかんでも大規模なマイナンバーシステムと連動することが不合理であることの証拠です。 「徳島市立図書館だけじゃないのでは」と思って調べてみると、すぐに複数の図書館でも同じようにサービスを停止しているのが見つかりました。これからもマイナンバーカードの利用を取り止める図書館は続くと思います。