『ダークナイト』のジョーカー役もオファーされていた!?ホアキン・フェニックス、新作撮影をまた降板
辞退
さらに、ここ数週間で、俳優が撮影を途中で辞退する事態についての証言が相次いでいる。9月中旬、ジェームズ・マカヴォイはポッドキャスト番組「Happy Sad Confused」で、ホアキン・フェニックスが映画『スプリット』(2016年) の撮影を途中で辞退したことについて語った。その結果、ジェームズ・マカヴォイは急遽役を引き受け、撮影開始の2週間前に代わりを務めることになった。しかし、この短期間でキャラクターに入り込むのは非常に厳しかったという。それにしても、ホアキン・フェニックスの辞退は、いまに始まったことではないようだ。11月初めに『グラディエーター』(2000年) の監督リドリー・スコットの『ニューヨーク・タイムズ』でのインタビュー記事によると、ホアキン・フェニックスがこの役を辞退しそうになっていたことが明らかになった。そう、彼がアカデミー賞にノミネートされるきっかけとなったあの『グラディエーター』だ。 撮影現場で、皇太子コモドゥスを演じた彼はある日、「できない」と言い、立ち去ろうとしたという。ラッセル・クロウの目の前ですべては起こり、驚いた彼はそれを「プロフェッショナルでない」と評した。しかし、リドリー・スコット監督はなんとか事態を収拾したようだ。このような事態は、2020年の映画『ナポレオン』の撮影現場でも繰り広げられたという。ホアキン・フェニックスは、ポール・トーマス・アンダーソンが脚本を書き直さない限り、撮影を離れると脅したと言われている。
ステファニーか、ガガか?
この業界で自分のポジションを築くのがいかに難しいかを考慮すると、ホアキン・フェニックスの迷いには少し苛立たしさを感じる。そうした一方で、彼の行動には少し強引な一面もある。ホアキンは、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を自分の夢からインスパイアされたものにするよう要求したという。ここまでくると、もはや言葉が出ない。しかし、一般人と同じように彼も不確実性に揺れ動いているからこそ、このような行きつ戻りつする態度になるのではないだろうか? 確かなことは、彼が常にすべてに疑念を抱いているということだ。「ステファニーか、それともガガか?」といったように、撮影中にパートナーをどう呼ぶべきかを迷っていることさえある。 これら突然の態度の変化は、過剰な自尊心の現れなのか? それとも、間違った選択をすることへの強い恐怖から来るものか? あるいは、自信のなさの表れか? 10月、ホアキン・フェニックスは、クリストファー・ノーランの映画『ダークナイト』(2008年)でジョーカーを演じることを最初は断ったと告白した。その理由は、「準備ができていなかったから」だという。こういった感情が沸き起こることも、彼が複雑な家庭背景を持つことに起因する。かつて彼の両親は、宗教団体「神の子どもたち(現ファミリー・インターナショナル)」に加入し、その後脱退し、名前を変えた経歴がある。また、1993年には、ハリウッドで人気を誇った俳優の兄リバー・フェニックスを薬物の過剰摂取で亡くした。 これだけ聞くと、「ホアキン・フェニックスの不安定さに映画監督たちは距離を置くのでは?」と思うかもしれない。しかし、その心配は無用だ。ホアキン・フェニックスはすでに2025年の2つのプロジェクトに出演が決まっている。彼は、アリ・アスター監督によるホラー映画『Eddington(原題)』と、パヴェウ・パヴリコフスキ監督のスリラー映画『The Island(原題)』に出演する予定だ。もちろん、すべてが予定通りに進めばの話だが。 text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)
translation: Hanae Yamaguchi