ニュージーランド産グリーンムール貝を活きたまま日本の調理場へ ikana
ニュージーランドの水産会社・ikana(以下、アイカナ社)は、収穫直後のムール貝を活きたまま直送するフレッシュムール貝「Fresh Greenshell Mussels」の日本向け輸出を今年から開始している。 【動画】グリーンムール貝を調理する様子はこちら NZ産ムール貝・Greenshell Mussellsは、殻の表面が神秘的なエメラルドグリーンをしているのが大きな特徴。先住民マオリ族にとっては重要な栄養源の一つであり、現在も同国の象徴的なソウルフードだ。またサイズも、フランス料理などで提供される一般的なムール貝と比較すると殻身ともに1.5倍以上ある。身の色目も美しく、雄はクリーミーホワイト、雌は濃いアプリコットピンクをしている。 アイカナ社の「Fresh Greenshell Mussels」は、養殖場から収穫された直後、MAP包装で活きたままパッキングして出荷し、収穫後4日目には日本の小売り店頭に並べることが可能だ。消費期限はパック後12日間。国内で購入後も1週間程度は活きたままの新鮮なNZ産ムール貝を楽しめる。冷凍のムール貝とは異なり、新鮮で風味が保たれるだけでなく、ジューシーで弾力性があり肉厚で、現地と変わらない食感を楽しむことができる。 NZのムール貝養殖は、首都ウエリントンの対岸に位置するマールボロ港で1969年に開始された。独自の延縄養殖システムを採用しており、収穫までに要する期間は12-24カ月。年間水揚量は約10万トン(世界4位)で、輸出先は63%が欧米。だが全体の8割は冷凍であり、活貝での輸出は3%に過ぎない。なおアイカナ社は、活ムール貝の輸出において同国の最大手。NZの活ムール貝輸出実績は1800t(2023年度)。同社の輸出はその6割を占めている。
国内の外食業界では導入例がごくわずかで、一般には未知の食材だが、食経験を得た人の感想は高評価だ。通常のムール貝よりも大きく、殻もきれいで身が美味しい。同社では「基本的な調理法はシンプルで、調味料を使わずそのまま数分蒸すだけ」としており、砂抜き処理も不要。記者の試食では、肉厚で濃厚。充分な食べ応えがあり美味。味はムール貝だが食感は大蛤に近い。炉端焼きなどの居酒屋業態でも定番メニューになりそうだ。なお1パック(800g)は12-15個入り。参考価格は税込1620円としている。 Greenshell Musselsの付加価値としては、豊富な栄養素やミネラルが含まれていることから既にスーパーフードとして知られていることも興味深い。NZで発表された文献(Aquaculture New Zealand)によれば、タンパク質15.5g(100gあたり)、鉄分4.4mg(ステーキ150g相当)の他、ビタミンB12(325%/ RDI 1日推奨摂取量比 *ニュージーランド基準)、セレン(109%/同)、ヨウ素(107%/同)、マグネシウム(28%/同)、ナイアシン(39%/同)などを含有しており、関節機能向上・筋肉機能回復などの機能性に関するエビデンスも報告されている。現地ではパウダー、オイルなどに加工されサプリメントとして商品化しているようだ。 また環境保護の見地では、国際保護団体・ブルー・オーシャン・インスティテュートが世界トップ2の“環境に優しい魚介類”にランクしている。 「Fresh Greenshell Mussels」はすでに都内の外食店などへの卸販売を開始しており、今後は食品スーパーなどへの展開を進めていく方針だ。