温暖化防止資金をどう捻出するか、COP29で「暗号資産」「超富裕層」「プラスチック&ポリマー」への課税が議題に
■ 暗号資産は匿名で把握するのが難しい 暗号通貨への課税手段は金融取引税や電力使用に対する課税などの選択肢がある。IMFによると、暗号通貨取引に課税すれば税収は年間数百億ドルにのぼる可能性がある。0.1%の金融取引税なら158億ドル、20%のキャピタルゲイン税なら3230億ドル(好況年)の税収が期待できる。 暗号通貨の採掘者の電力使用量に1キロワット時当たり0.045ドルを課税すれば、暗号通貨採掘のための二酸化炭素排出量を約45%削減し、世界全体で52億ドルの税収を得ることができるという。しかし、多くの暗号資産が匿名で、実態を把握するのが難しいという課題も残る。 報告書は超富裕層への課税も提案している。今年、20カ国・地域(G20)の財務相は議長国ブラジルの後押しで初めて超富裕層への低税率課税について協議した。仏経済学者ガブリエル・ズックマン氏は現代の税制がいかに超富裕層への課税に失敗しているかを説く。 ブラジル政府の依頼でそのズックマン氏がまとめた報告書「超富裕層に対する協調的な最低課税の青写真」のベースラインシナリオは世界3000人の超富裕層に対する最低税率を資産の2%とし、約2500億ドルの税収を生み出そうというものだ。
■ プラスチックやポリマーへの課税 納税が必要となるのは資産の2%に相当する所得税を納めていない超富裕層だ。超富裕層の資産への課税をさらに3%に引き上げれば、1億~1億5000万ドルの増収が見込めるという。G20の財務相は「超富裕層を含む公正かつ累進的な課税に関する対話の促進」を再確認した。 3つ目がプラスチックやポリマーへの課税だ。プラスチック生産量は1950年の200万トンから2022年には4億トンと指数関数的に増加している。2019年から60年にかけ、プラスチックの使用量はほぼ3倍になると予想されている。 22年、175カ国がプラスチックの生産・設計・廃棄を含む全ライフサイクルに対処するための国際的な法的拘束力のある文書を採択した。今月25日から年末にかけ、韓国・釜山でプラスチック汚染対策に関する国際条約を議論する政府間会合が開かれる。 英コンサルタント会社EUNOMIAは40年までに25年比で一次プラスチック生産を40%削減しても世界の平均気温は産業革命前に比べ摂氏1.7度上昇すると指摘している。あらゆる手段を使って25年までにプラスチック生産をピークアウトさせる必要があるという。