【健康診断】肝臓の数値が高いといわれた…下げるために意識すべき食事のポイントは|管理栄養士が解説
健康診断で「肝機能に異常がある」といわれた方がいらっしゃるかもしれません。肝臓はお酒のイメージが強いですが、実は食事内容にも大きく影響を及ぼします。そのため、肝臓の数値が高い場合は、食事の見直しや改善が大切です。今回の記事では、肝臓の数値が高い場合に意識したい食事のポイントについて管理栄養士が解説します。 〈図解〉脂肪肝から慢性肝炎(脂肪肝炎)、慢性肝炎(脂肪肝炎)から肝硬変に至り肝不全や肝臓がんを発症することも ■肝臓の機能に関わる数値は? 肝臓は、食べたものをエネルギーにかえる・アルコールなどの有害物質を分解するといった重要なはたらきをしています。 肝臓の状態を示す指標として、以下の3つがあります。 ・AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ) ・ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ) ・ γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ) AST・ALTは肝臓に多く存在する酵素で、基準値は30U/L以下です。 基準値を超えると、脂肪肝・急性肝炎・慢性肝炎などが疑われます。 なお、ASTは心臓や筋肉にも存在しているため、ASTのみ高い場合は心臓疾患・筋肉疾患が疑われるようです。 γ-GTPは胆道から分泌される酵素です。 たんぱく質を分解したり解毒作用に関わったりしています。 基準値は男性で50U/L以下、女性で30U/L以下です。 基準値を超えるとアルコール肝障害・胆汁うっ滞・慢性肝炎などが疑われます[1,2] ■肝臓の数値が高い場合に意識したい3つ食事のポイント 一般的に肝臓の数値が高くなるのは、食べ過ぎと飲み過ぎといわれています。 以下のポイントを意識しつつ、食べ過ぎと飲み過ぎに注意しましょう。 ■■(1)糖質や脂質の摂取を控え、減量する 肥満は脂肪肝のリスクが高まるといわれています。 一般的に食事で摂取したエネルギーが消費エネルギーよりも多くなると、中性脂肪となり肝臓などに蓄えられ肥満につながります。 そのため、ごはんやパンなどの糖質の多い食品、揚げ物や肉料理などの脂質の多い食品などの高カロリー食品の摂取量を減らし、野菜やきのこなどの食物繊維の多く低カロリーな食品を積極的に食べるようにしましょう[3]。 ■■(2)間食の食べ過ぎに注意 間食はカロリー過多になりやすいため、注意が必要です。 1日当たりの間食の量は、飲み物も含めて200kcal程度として食べ過ぎないようにしましょう[3,4] ■■(3)お酒の量は適量に お酒を飲む習慣のある場合は、飲酒量や飲酒頻度に注意しましょう。 特に γ-GTPの値が基準より高いと飲み過ぎている可能性があります。 1日の飲酒量は、ビールでは中瓶1本、日本酒では1合程度が目安です。 また、週に1日以上は休館日を設けると良いでしょう。 ただし、状態によっては禁酒となることもあるため、飲酒は担当の医師に確認することが大切です。 また、お酒と一緒に食べるおつまみもカロリー過多となりやすいため、揚げ物などのカロリーの高いものの摂取を控えましょう[3,5]。 ■食事だけじゃない?意識したい生活習慣とは? 食事の改善だけではなく運動を取り入れることも、肝臓の数値の改善につながると考えられています。 そのため、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を1日30分程度、週3回以上を行うと良いでしょう。 運動が難しい場合は、家事を積極的に行う・1駅歩くなど日常生活のなかでの活動量を増やしてみるのもおすすめです[3]。 肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、肝臓の機能が低下しても症状がほとんどないため、放置されやすいといわれています。 そのため、健康診断などで肝臓の状態を確認し、必要に応じて生活習慣を改善することが大切です。 なお、肝臓の数値が高いのは薬の服用などによる場合もあるため、 少しでも不安に感じたら担当の医師に相談しましょう。 【参考文献】(2024年3月25日閲覧) [1]公益社団法人 日本人間ドック学会, 検査表の見方 [2]厚生労働省, e-ヘルスネット, γ-GTP [3]日本消化器病学会・日本肝臓学会, NAFLD/NASH診療ガイドライン 2020 [4]厚生労働省, e-ヘルスネット, 間食のエネルギー(カロリー) [5]厚生労働省, e-ヘルスネット, 栄養・食事・血圧から見た許容飲酒量 ライター/一ノ木菜摘(管理栄養士)
一ノ木菜摘