韓国歴代No.1大ヒットを記録、チェ・ミンシク“イ・スンシン将軍”の活躍を描く「バトル・オーシャン/海上決戦」を振り返る
韓国で観客動員数1761万人ほか歴代新記録を次々に樹立し、記録的なヒットを打ち出した、スペクタクルアクション歴史劇「バトル・オーシャン/海上決戦」(2019年日本公開)。わずか12隻の水軍を率いて330隻もの日本軍に立ち向かう、イ・スンシン将軍(チェ・ミンシク)の活躍が描かれる。今回は、そんな本作のストーリーや見どころについて振り返っていく。 【動画】朝鮮・明の連合軍と日本水軍とファイナルバトルの火蓋が切って落とされる「ノリャン -死の海-」予告映像 ■“救国の英雄”と名高い大将軍イ・スンシンの活躍を描いた戦争アクション 1597年の朝鮮が舞台となる本作では、日本が朝鮮に出兵した「慶長の役」で、イ・スンシン率いる朝鮮水軍が30倍もの日本水軍を翻弄し、撤退させたことでも知られる“鳴梁(ミョンリャン)海戦”の様子を描いている。 本作が韓国で公開されるとたちまち注目を集め、観客動員数は1761万人、当時の動員数では歴代1位という空前の大ヒット作品となった。その人気の理由には、イ・スンシンが現在も韓国で“救国の英雄”として多くの国民から尊敬されている点が挙げられるが、スンシン将軍を演じたチェ・ミンシクの存在も大きい。ミンシクといえば、映画「オールド・ボーイ」(2004年日本公開)で大鐘賞、青龍賞といった韓国のアカデミー賞主演男優賞を総なめする実力派俳優。監督を務めたのは、「神弓 KAMIYUMI」(2012年日本公開)などを手掛けたキム・ハンミンだ。 なお、動画配信サービス・Huluでは「バトル・オーシャン/海上決戦」とシリーズ第2作「ハンサン -龍の出現-」(2022年日本公開)を見放題配信中。さらに、8月に公開された3作目「ノリャン -死の海-」(2024日本公開)もレンタル配信中で、文禄の役でのイ・スンシンの武勇が描かれる。 ■12隻対330隻の戦い…“鳴梁海戦”を描く「バトル・オーシャン/海上決戦」あらすじ 朝鮮水軍統制使のイ・スンシン(チェ・ミンシク)は、王の命令に背いた反逆の罪で拷問され、挙句の果てに一兵卒に降格させられてしまう。しかし朝鮮水軍は国家存亡の危機に陥り、豊臣秀吉の朝鮮出兵により混乱状態となったため、再び統制使として復活を遂げたスンシン。彼はわずか12隻の船を引き取り、南海岸の珍島・碧波津に陣を張るのだった。 しかしスンシン復活後もその戦法に理解を示そうとしない彼の部下たちが反発し、船を焼き払ってしまうなど、水軍の士気はどんどん下がっていく…。そんな時、朝鮮水軍の規律が乱れていることを知った日本の豊臣秀吉は、これ見よがしに一気に攻め込んでくる。そしてスンシンは日本水軍330隻に対し、たったの12隻で迎え撃とうとする――。 豊臣秀吉の朝鮮出兵を描いた本作だが、実際に戦の先頭に立ったのは来島通総という人物だった。彼は海に詳しく策略家で、誰よりもスンシンを倒したい気持ちが強い。そんなトップと圧倒的な軍力を持つ日本軍に対して、スンシンは“ある作戦”を立てる――。 ■激しい戦闘シーンと俳優たちの演技が光る、「バトル・オーシャン/海上決戦」見どころ 朝鮮水軍から見た朝鮮出兵の様子を描いた本作。我々が日本史の授業で登場する朝鮮出兵は、当然のことながら豊臣秀吉率いる日本軍に視点を当てている。同じ出来事でも立場が異なれば物の捉え方も異なってくるため、本作を通して“朝鮮側から見た日本水軍のイメージ”を知ることができ、歴史を新しい視点で覗けるのが見どころの一つと言えるだろう。 また、大砲や弓矢などで激しく攻防する、水上でのパワフルな戦いっぷりも見ごたえ十分。特にスンシンが乗る大将船に爆弾を大量に積む船がどんどん近づいていくシーンは緊迫感あふれる映像となっている。 そして本作には、韓国のトップ俳優の一人、パク・ボゴムや、日本の俳優・大谷亮平も出演。パク・ボゴムは目の前で父親を殺された過去を持つペ・スボン役を熱演。鳴梁海戦が始まる前にスンシンのもとへ行き、海上決戦では自ら志願して船を漕ぎ進める大役を任された。素朴な役どころを、当時21歳の若かりしボゴムが初々しくも見事に演じている。 そして大谷は、もともと日本兵だったがスンシンに憧れ朝鮮側に鞍替え、日本水軍の情報を伝える“スパイ”という難しい役どころに挑戦。キム・ハンミン監督作品への出演を切望し出演に至った大谷は、落ち着いた雰囲気の中にも胸の中に熱い思いを抱えるジュンサ役を堂々と演じた。そんな大谷は本作出演にあたり、「これから俳優として活動する中で、『バトル・オーシャン/海上決戦』の一員だったということがすごく力になると思います」と語っていた。 本作では壮大なストーリーやアクションシーンはもちろん、ミンシクやボゴム、大谷といった実力派俳優陣による迫真の演技にもぜひ注目したい。