新東名沿線の“耕作放棄地”に着目…NEXCOの社員が畑再生し『枝豆』を栽培 コーヒー農園経営も視野に
■「放棄」された農地の復活は簡単なことではない
愛知県豊川市の農家・酒井美代子さんは、市民グループ「休耕地ハッピープロジェクト」を立ち上げ、地域住民の力を借りて耕作放棄地の再生に取り組んでいる。 酒井さんは、20年ほど前までキノコ農園だった場所の片付けを、1年ほどかけて続けている。当時は、20~30cmの厚さで土とプラスチックがあり、荒れ放題だったということだ。 鉄骨は錆び、ゴミも触って砕けるほど紫外線で劣化していたということで、「片付けるのが本当に大変」だと話す。 農家 酒井美代子さん: 片付けるのに時間がかかる。なるべくこういうふうにしないほうがいい。これからもっともっと農業をしない・できない畑が増えてくると思うので。 一度荒れると元に戻すには手間と時間がかかる耕作放棄地だが、新たな作物を育てることで、その負のサイクルに歯止めをかける。 農家 酒井美代子さん: この白い花が咲いているのがソバです。ソバは肥料がなくても割とあの痩せた土地でもできるっていうことを聞いていて。 この畑もかつては、誰もが再び農業を始めようとは考えもしなかった場所だった。 地道な清掃作業で息を吹き返し、2023年、地元であまり馴染みのなかった「ソバ」を栽培した。 農家 酒井美代子さん: 耕作放棄地になったものを誰かに使ってもらいたいっていう、そういう思いで。なるべく価値のある利用の仕方をしたいっていうことが、目的というか目標ですね。 放っておけば、いつまでもただの荒れ地だが、手を加えることで、新たな価値を作ることができる。
■「何か違う世界が開けていくんじゃないか」耕作放棄地の未来は…
酒井さんが耕作放棄地で育てたソバで作った「十割(じゅうわり)蕎麦」の試食会が開かれた。 女性: すごい、いい香り。すごいこんなのが取れるよね、ここで。 男性: そばはそこの畑で作ったんですか? “荒れ地うまれ”の食材が、地元の人のお腹を満たした。 農家 酒井美代子さん: みんな苦労して木の根っこを掘ったり、ご先祖様がしてきた畑が荒れている。そういうところを考えると一生懸命やらなきゃいけないなと。昔の人の苦労を考えるとね。 日本各地で、ポテンシャルを秘めたまま荒れてしまった多くの土地。見直して再び耕せば、新たな「宝の芽」が出てくるかもしれない。 農家 酒井美代子さん: こういう小さな取り組みが全国でできるようになったら、もっともっと何か違う世界が開けていくんじゃないかと思います。食べ物っていうのは本当に大事で。そこを大事にしないと人間生きていけないので。 2024年5月31日放送 (東海テレビ)
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